1993 Fiscal Year Annual Research Report
締固め土の強度異方性の表現と斜面安定解析への応用に関する研究
Project/Area Number |
05650475
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山上 拓男 徳島大学, 工学部, 教授 (90035642)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 康宏 (株)阪神コンサルタンツ, 調査部, 係長
鈴木 壽 徳島大学, 工学部, 助教授 (80154574)
|
Keywords | 異方性 / 締固め土 / せん断強度 / 粘着力 / 内部摩擦角 / 安定解析 / すべり面 / 安全率 |
Research Abstract |
本研究は振動ローラ等締固め重機で転圧された地盤内のせん断強度異方性を実験的に解明し、これに基づく斜面安定解析プログラムを開発することを第一の目的に、また異方性強度式中に現れるであろう3つ以上のパラメータを効率的に決定する方法論を確立することが第二の目的である。平成5年度は第一の目的を中心に研究を進めてきた。 まず、小型ローラにより室内モデル地盤を作成し、種々の角度からサンプリングした供試体に対して多数の三軸圧縮試験を実施した。そうして、クーロンのせん断強度式、破壊時のモール円、ならびに供試体中に発生するせん断面の傾角を基にして、異方性を考慮した破壊規準を提案した。その結果、モール円に共通接線を引く既往の破壊線と、異方性を考慮したそれとの間には明らかに差異の有ることが確認された。すなわち、締固め土中には明白に異方性の生じることが確かめられた。 異方性を取り込んだ斜面の安定解析を行うために、三軸供試体中に発生したせん断面と締固め時に形成される層のなす角度の関数として、異方性強度式中の粘着力と内部摩擦角を表現した。次いで簡便分割法に基づく異方性を考慮した斜面安定解析プログラムを開発した。 盛土斜面を想定し、上記プログラムのもとに幾通りかの安定解析を行い、地盤を等方性とみなす既往の方法と比較した。それによると、多くの場合、臨界すべり面の位置、最小安全率ともに異方性と等方性で大きく異なることが判明した。特に、最小安全率の値の差が顕著であって、常に異方性を考慮した場合の最小安全率が、等方性の場合のそれより小さく現れることが明らかになった。この知見は重要であり、今後精度の高いBishop法等に基づく安定解析を通して一層深く検討と考察を加える必要がある。
|