1993 Fiscal Year Annual Research Report
民間活力を導入した都市開発手法の経済効果に関する研究
Project/Area Number |
05650507
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小林 潔司 鳥取大学, 工学部, 教授 (50115846)
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Keywords | 都市開発 / 民間活力 / インセンティブ / 土地信託 / 第3セクター / 情報の非対称性 / ゲーム理論 / 競争入札 |
Research Abstract |
近年、公共サービスに関する各種の規制緩和が促進され、都市開発における民間部門の重要性が認識されつつある。民間部門は営利活動を旨とする行動主体である。民間主体に社会資本の整備を委託するといってもその役割には限界がある。この場合、公共主体は民間部門に自由裁量の余地を賦与するだけでなく、民間主体の行動を社会全体にとって望ましい方向へ誘導していくことが必要となる。本研究では、1)信託契約方式、2)第3セクター方式等をとりあげ、これら都市開発方式の適用可能性や手法がもたらす社会・経済効果について科学的な分析を試みた。さらに、これら都市開発方式における公共・民間主体の望ましい協力関係と手法の適用範囲について考察したものである。その際、民間活力を活用した代表的な都市開発方式における公共主体と民間主体の間での利潤配分方式、誘引・情報体系に着目した。さらに、ゲーム理論、ミクロ経済分析手法を用いて各種都市開発手法における公共・民間主体間の契約関係とその構造について理論的な分析を試みた。具体的には、1)土地信託方式、2)第3セクター方式による都市開発方式をとりあげ、契約関係とその構造に関してゲーム論的な解明を行ない、各種手法の経済効果についてミクロ経済学的手法を用いて理論的な分析を実施した。その結果、土地信託方式においては、公共主体と民間主体の間の情報の非対称性に起因する効率性のゆがみが問題になることを指摘し、民間主体が真の技術情報を開示するインセンティブメカニズムが必要となることを示した。その方法として信託率に関する競争入札制度が有用であることを指摘した。一方、第3セクター方式ではこの種の情報の非対称性の問題は存在しないが、関連主体に事業参加へのインセンティブを賦与することが重要であることを指摘し、望ましい利潤配分方式を求めるための計画モデルを提案している。
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[Publications] 文世一: "商業地再開発の規模と構成に関するモデル分析手法" 土木学会論文集. 401/IV-10. 69-78 (1989)
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[Publications] 小林潔司: "公共システム整備のための評価指標-研究系譜と今後の課題-" 土木学会論文集. 425/IV-14. 81-90 (1991)
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[Publications] 小林潔司: "都市開発のための最適信託契約に関する理論的研究" 土木学会論文集. 440/IV-16. 81-90 (1992)
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[Publications] 岡田憲夫: "社会基盤整備のためのリスク分析:リスク分析的アプローチの共通性と多様性" 土木学会論文集. 464/IV-19. 23-32 (1993)
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[Publications] 小林潔司: "創造的都市" 総合都市研究. 49. 5-21 (1993)
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[Publications] 古嶋篤: "伝統産業の協業化による経済基盤整備に関する研究" 土木学会中国支部年次学術講演会発表予定.
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[Publications] Andersson,A.E.: "The Cosmo-Creative Society" Springer Verlag, 296 (1993)