1994 Fiscal Year Annual Research Report
パネルデータを用いた交通機関選好意識のダイナミックモデルに関する研究
Project/Area Number |
05650508
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉恵 頼寧 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (70034410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 寛典 広島大学, 工学部, 助手 (80093730)
藤原 章正 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (50181409)
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Keywords | 選好意識 / ダイナミックス / パネル / 多項ロジットモデル / 交通手段選択 |
Research Abstract |
本研究で1993年実施した広島市における交通機関選好意識調査と1987、90年行なった同選好意識調査のデータから、同一個人の3年ごとのパネルデータを抽出し、基本的なパネル分析を行なうとともに、ダイナミックなモデルの構築を行なった。 新交通システムに対する選好意識は自動車やバスといった現在利用している交通手段に大きく影響されることが最初に明らかにされた。そして、現在利用している交通手段の変化によって引き起こされる選好意識の時間的変化は、マルコフの仮説に従わないことが示された。マルコフの仮説とは、交通環境の変化に対する個人の反応を示したものであり、1時点のデータに基づいたモデリングはこの仮説を基本としている。これによって、交通環境の変化によって直ちに各交通手段の選好意識が変化するのではなく、変化前の交通環境に大きく影響されることが明らかになった。さらに、自動車からバスに交通手段を変更した人は予想以上にバスに対する好みが強く、新交通システムに対しては逆に好みの程度が低いことが示された。 集計ロジットモデルを用いて各時点ごとに交通機関選択モデルを構築すると、パラメータ推定値に時間的安定性は認められず、誤差項にも1次の系列相関の存在が確認された。また非集計ロジットモデルを用いてダイナミックな交通手段選択モデルを構築することによって、「状態依存」の重要性が明らかにされた。交通手段の選択に対する選好意識は過去のデータに基づく各交通手段の選択確率よりも過去の交通環境の方により強く依存している事実も明らかになった。これらの結果は、行動結果データと同様に選好意識データにおいてもダイナミック分析の重要性を示している。
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Research Products
(1 results)