1993 Fiscal Year Annual Research Report
軟弱地盤における地震時の大変形が地盤・杭-構造物系の動的相互作用に与える影響
Project/Area Number |
05650534
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
時松 孝次 東京工業大学, 工学部, 教授 (50134846)
|
Keywords | 基礎構造 / 地震 / 変形 / 非線形 / 地盤 / 杭 / 相互作用 |
Research Abstract |
強震時の杭と地盤の相互作用を把握するためには、地震時の実地盤の非線形特性を明らかにする必要がある。そこで、鉛直アレイ強震記録を用いた逆解析を行って、地震時の地盤のせん断剛性と減衰定数のひずみ依存性の時刻歴を求めた。推定された地盤の非線形性は土試料に対する室内実験結果と良く対応していた。次に、地震時の軟弱地盤における応答特性を明らかにするため、等価線形解析、ひずみ振幅依存型等価線形解析、一次有効応力解析法の妥当性と適用性を間隙水圧上昇を含む鉛直アレイ地震記録と比較検討した。さらに、地盤・杭・構造物系の相互作用を考慮した解析法を作成し、その妥当性を大型せん断土槽を用いた地盤・杭・構造物系に対する水平振動実験結果と比較検討した。解析から得られた杭・構造物および地盤系の加速度、変位、間隙水圧および杭の曲げモーメントの時刻歴と地盤および杭・構造物系の加速度フーリエスペクトルはいづれも実験値とよく対応し、解析手法の有効性が示された。以上の結果から、地震時に増大する地盤変形の影響を受けて杭が強制変形される場合のあることが示された。さらに、地盤変形の杭応力に与える影響は、杭頭に働く慣性力の影響より大きい場合のあることが分かった。以上の結果に基づいて、地震時に増大する地盤変形が杭応力に与える影響を、応答変位法を用いて評価する手法の妥当性について検討した。その結果、地盤反力の低下、地盤変位、杭頭加速度が正当に評価出来れば、応答変位法より杭に生ずる応力を適切に評価できる可能性が示された。最大速度はいずれの解析法でもある程度の精度で予測出来るが、最大加速度と伝達関数の予測は等価線形解析では50gal程度まで、ひずみ振幅依存型等価線形解析では150gal程度まで、有効応力解析ではそれ以上でも有効であることが分かった。また、間隙水圧が上昇する場合は、初期有効応力の5%程度の上昇までは、ひずみ振幅依存型等価線形解析でも有効であるが、それ以上では非線形解析のみ有効であることが分かった。
|
-
[Publications] 時松孝次: "強震記録から推定した表層地盤の非線形性" ESG平成4年度国内シンポジウム. 278-281 (1993)
-
[Publications] Kohji Tokimatsu: "Preliminary Report on the Geotechnical Aspects of the Hokkaido-Nansei-oki Earthquake of July 12,1993." 13th ICSFE. 75-86 (1993)
-
[Publications] Kohji Tokimatsu: "Liquefaction-induced Damage to Buildings in 1990 Luzon Earthquake" Jour.of Geotechnical Engineering,ASCE. 120. 290-307 (1994)
-
[Publications] Yoshiaki Yoshimi: "In Situ Liquefaction Resistance of Clean Sands and Over a Wide Density Range." Geotechnique. 44. (1994)
-
[Publications] 分担: "液状化対策の調査設計から施工まで(3章)" 土質工学会, 444 (1993)
-
[Publications] 分担: "Manual for Zonation on Seismic Geotechnical Hazards" 土質工学会, 149 (1993)