1993 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー・ガンマ線吸収法によるカルコゲン・多価金属合金融体の密度測定
Project/Area Number |
05650615
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
土屋 良海 新潟大学, 理学部, 助教授 (60089836)
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Keywords | ガンマ線吸収法 / 合金融体 / 密度 / 構造変化 / 二液相分離 |
Research Abstract |
高融点と高い蒸気圧を有するカルコゲン・多価金属合金融体の基礎データとしての密度を系統的に測定するために、購入設備品のコンピュータ・コントロール多重波高分析器と既設備品のNaIガンマ線検出装置及び温度コントローラを組み合わせて温度可変の高エネルギー・ガンマ線吸収測定装置を組み立てた。約100Mbの^<137>Csを高エネルギー・ガンマ線源として使用することにより、このシステムは密度の温度変化を長時間連続的に自動計測することが出来る。広い温度範囲に渡って密度が調べられているインジウムと高い蒸気圧を有する硫黄をテスト試料として測定し、このシステムが当初の性能目標を十分に満足することを確かめた。 この研究で今までに得られた主な成果は以下の通りである。 1.銀-テルル、銀-セレン、タリウム-セレン合金 前者の二つの系は超イオン導電体として知られて、最後の系は急激な金属非金属転移を示す。これらの系では、カルコゲンが1/3の化合物組成で密度がカプス状の組成依存性を持つことを示した。銀合金では1100℃までの測定を行い二液相境界を決定し、また銀-セレン系のセレン側での二液相境界を初めて明らかにした。結果は、日本物理学会の英文ジャーナルと秋の分科会(1993年10月、岡山大学)金属分科で発表した。 2.ゲルマニウム-セレン-テルル3元合金 液相での急激な構造変化の機構を明らかにするために、ゲルマニウムの組成を15%に固定しセレンとテルルの濃度を変化させて密度の温度変化を900℃まで測定した。これらの融体では温度の上昇とともに密度の急激な増大(体積の収縮)を見いだした。またこの領域で2液相分離が起きる極めて興味深い現象が現れ現在詳細な測定と解析を進めている。 以上まとめたように本方法によって高い蒸気圧と反応性を有する高温融体の密度を容易に測定できるようになった。またこの方法は相分離に対して高い感度をもつことを明らかにすることが出来た。今後得られた成果の公表を急ぐと共に高温の合金融体の系統的な測定を続ける予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsuchiya Yoshimi: "Molar volume and compressibility of liquid Tl-Se alloys" J.Phys.Soc.Jpn. 62. 2698-2705 (1993)
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[Publications] Tsuchiya Yoshimi: "The thermodynamics of structural changes in the liquid sulphur-tellurium system:compressibility and Ehrenfest's relations" J.Phys.:Condens.Matter. 6(in press). 8 (1994)