1993 Fiscal Year Annual Research Report
高純度TiAl金属間化合物に現れる散漫散乱の構造解析
Project/Area Number |
05650619
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 晴行 京都大学, 工学部, 助手 (30213135)
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Keywords | 軽量耐熱材料 / 散漫散乱 / 欠陥構造 / 短範囲規則化 / 電子回折 / 高分解能電子顕微鏡法 |
Research Abstract |
金属間化合物TiAlは新しい軽量耐熱材料として、近年、集中的に研究されているが、これは少量のTi_3Al相を含むTiAl/Ti_3Al二相化合物についてであり、その主構成相であるTiAl単相化合物についてはあまり研究が進んでいるとは言えない。単相のTiAl化合物が得られると考えられているTi-56at%Al組成のTiAl化合物の回析図形にそのL1_0型構造では説明のつかない散漫散乱が観察されることを最近発見し、本研究でその原因となる欠陥構造の解明を試みた。この散漫散乱は〈001],〈111],〈211]入射の回析図形には観察されるが、〈100],〈110],〈011],〈112]入射の回折図形には存在しない。Ti-54at%Alの単相化合物にも同様の散漫散乱が同様の強度で観察されるが、Ti-50at%Al,Ti-52at%AlのようにTi_3Al相と共存するTiAl相では散漫散乱は観察されない。このことは凝固時にα相から析出するγ相には散漫散乱は観察されず、融液から直接晶出するγ相にのみ散漫散乱が観察されるということを意味する。当初、この散漫散乱は、不純物として存在する酸素と深く関係しているのではないかと考えていたが、Ti-56at%Alにつき酸素含有量が300,500,800wt ppmの試料を用意しその散漫散乱の強度を比較したところ、余り大差がないことが明かとなった。また、散漫散乱が観察される〈001],〈111]方向から原子尺度で高分解能電子顕微鏡観察したところ、その光回折図形にも散漫散乱が観察されることから、その原因となる欠陥構造は特定の弾性波のソフト化などに関連した動的なものではなく、静的に安定なものであることが明かとなった。しかし、その高分解能像にはデメイン構造のようなものは観察されず、例えばTiとAl間やTi,Al,O間の短範囲規則化などの原子尺度での欠陥構造が散漫散乱を生じしめていると考えられる。今後、上記の知見をもとに原子尺度での構造モデルを構築し、4軸X線精密構造解析を行い、その欠陥構造を突き止めたい。
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[Publications] H.Inui: "Mechanical properties of the intermetallic compounds based on TiAl and Al_3Ti" Proceedings of International Symposium on Light Materials for Transportation Systems(LiMAT-93). 15-26 (1993)
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[Publications] M.Yamaguchi: "TiAl compounds for structural applications" Proceedings of International Symposium on Structural Intermetallics(ISSI). 127-142 (1993)
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[Publications] 乾 晴行: "TiAl基二相化合物の構造と機械的性質" 日本金属学会報(まてりあ). 33(印刷中). (1994)
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[Publications] H.Inui: "Environmental embrittlement of polysynthetically twinned(PST)crystals of binary and some ternary TiAl compounds" Transaction of the Materials Research Society of Japan. (印刷中). (1994)