1993 Fiscal Year Annual Research Report
層状二硫化タンタルの新規インターカレーション化合物の合成および物性測定
Project/Area Number |
05650631
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
日野出 洋文 東京工業大学, 工学部, 講師 (50165130)
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Keywords | 二硫化タンタル / インターカレーション / 単相領域 / 超格子 / 金属的伝導 |
Research Abstract |
二硫化タンタルのインターカレイション化合物M_xTaS_2においては、これまでx=1/4,1/3,1/2の定比化合物しか報告がなされていなかった。そこで、本研究では、予め金属タンタルと硫黄より合成した二硫化タンタルに、金属粉末を所定の比に混合し、1000℃で反応させることにより、マンガンおよびニッケルインターカレイション化合物について、これまで報告のなかった単相領域を明らかにすることを目的とした。 先ず、タンタル箔と硫黄を石英管中に真空封印し、反応温度1000℃で約1カ月反応させて二硫化タンタルを合成し、この二硫化タンタルに市販の高純度金属粉末を所定の比にメノウ乳鉢中で粉砕混合した後、加圧成型し石英管中に真空封印し、400℃で24時間、1000℃で5日間加熱する。氷水中に急冷し、粉砕後同様に加圧成型、真空封印し、1000℃で5日間加熱する。急冷した後粉末X線回折により不純物相の確認を行ない、単相領域を決定した。得られた単相領域は(M_xTaS_2)、マンガンの場合0.20≦x≦0.50、ニッケルの場合0.11≦x≦0.40であった。 得られた単相領域内の試料について、粉末X線回折による精密測定から格子定数を算出した。マンガンの場合、六万晶系のc軸は組成の増加と共に単調し、a軸はx=1/4で多少減少した。この組成において超格子構造を示唆する電子線回折図形が得られた。ニッケルの場合は、これまでのCr,V,Fe,Mnインターカレイションでc軸が単調に増加するのとは異なり、x=1/4付近で極小値をもつ結果が得られ、超格子スポットが観測された。 単相領域の試料に対して直流4端子法を用いて、液体窒素温度より室温まで電気伝導度を測定した。マンガン、ニッケル共に単相領域内の全ての試料で母体のTaS_2と同様の金属的挙動が観測された。
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