1994 Fiscal Year Annual Research Report
金属アルコキシドの粉砕助剤・分散剤としての作用機構
Project/Area Number |
05650646
|
Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
林 剛 西東京科学大学, 理工学部, 教授 (70016385)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
釘田 強志 西東京科学大学, 理工学部, 助手 (80225127)
|
Keywords | 粉砕助剤 / 金属アルコキシド / タルク / 鱗状黒鉛 / n・ブチルシリケート / n-ブチルチタネート / sec・ブトキシアルミネート / フッ素化アルコール |
Research Abstract |
乾式粉砕課程における金属アルコキシドの粉砕助剤作用を明確にするために,それぞれ表面状態が異なるタルク及び鱗状黒鉛について,アルミニウムsec-ブトキシド,ナフテン酸鉄,1-ペンタノール,F-アルコール及び蒸留水などを添加した条件で粉砕実験を行い,各添加剤の粉砕助剤効果と粒子の形状変化に対する影響を比較検討した結果,次のことが判明した. 1.層状構造をもつタルク及び鱗状黒鉛の粉砕において,sec-ブトキシアルミネートなどの金属アルコキシドの添加により,無添加の場合に陥る粉砕の限界を越えて比表面積が数倍に増大する粉砕助剤効果が観察された.これらの添加条件では,砕生物の安息角は無添加の場合と比較して常に小さい傾向を示し,また砕生物が微細になるとともに薄く剥離されてゆく傾向が認められた. 2.タクルの場合と異なって,低エネルギー表面をもつ鱗状黒鉛に対して水は大きい接触角をもつにもかかわらず少量添加により粉砕助剤効果があり,逆に接触角が小さいナフテン酸鉄には粉砕助剤効果が全く認められなかった.また,アルコールは極性の大きいF-アルコールの方が1-ペンタノールに比べて大きい粉砕助剤効果を示した. 3.したがって,粉砕を促進するアルコキシドやアルコールの作用は主として新表面を含む砕料表面への吸着層形成による表面エネルギーの低減及びそれによる粒子間の付着力低減に起因している.しかも,粒子の結合破断面へのそれらの化学吸着が粒子端面にクラックを生じ易くし,かつクラック表面への速やかなぬれ拡がりがくさびの働きをして層状粒子の剥離を進めるのではないかと考えられる.つまり,アルコキイドの粉砕助剤作用は,一般に粉砕を阻害する過剰な水分を除去するとともに,結合の破断面に速やかに化学吸着する機能に起因している.
|