1994 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマエッチングとプラズマ重合の同時制御による金属-高分子組成傾斜膜の試作
Project/Area Number |
05650661
|
Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
原口 俊秀 北九州工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (00038598)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 憲二 北九州工業高等専門学校, 化学工学科, 助教授 (80101179)
|
Keywords | プラズマエッチング / スパッタ / プラズマ重合 / 組成傾斜膜 / ステンレス鋼 / 表面処理 / ESCA分析 |
Research Abstract |
本年度は組成傾斜膜の合成とその確認に関する実験を主として行った。そのために、高出力高周波電源とカソード電極を組み込んだ新規のプラズマ処理装置を作成した。 まず、清浄化済鋼板表面へのメタンガスプラズマによる重合膜コーティングを、圧力0.1torr、出力100W、重合時間1-7minの操作条件下で行った。ESCAによる重合膜の深さ方向分析から、重合膜と鋼板との界面近傍に鋼の構成元素とプラズマポリマーのミクロ混合層が形成されていることが示唆された。 次に、清浄化済鋼板表面へのスパッタ処理を、ターゲット銅、圧力(アルゴン)0.1torr、出力300W、処理時間5minの条件下で行った。ESCA分析の結果、試料表面は完全に銅元素でコーティングされており、その厚さはミクロンオーダであることが分かった。 さらに、スパッタとプラズマ重合を同時に進行させるために、清浄化済試料鋼板を上部電極に固定し、下部の銅のターゲット電極に200Wの電力を印可し、電極間にアルゴンとメタンの混合ガスを0.1torrの圧力になるように供給して製膜操作を行った。その際、アルゴンとメタンの混合比を一定(7:4.5)とした場合とその比をアルゴン100%からメタン100%まで傾斜的に変化させた場合とに分けて行った。ESCAによる深さ方向分析の結果、ガス混合比一定とした場合には重合膜中に金属銅が元素比で10%程度で一様に存在し、ガス混合比を変化させた場合には鋼板表面の重合膜中に銅元素が元素比0-15%の範囲で傾斜的に分布していることが分かった。 これらの結果から、本研究の目的とした金属と高分子による組成傾斜膜がプラズマ技術により作成可能であることが分かった。
|
Research Products
(19 results)
-
[Publications] 原口俊秀: "金属表面のプラズマエッチングに関する研究" 北九州工業高等専門学校研究報告. 26. 93-99 (1993)
-
[Publications] T.Haraguchi: "Application of Hollow Fiber Modified by Plasma-Graft Polymerization to Rare-Farth Elements Extractor" Proceeding of Symposium on Plasma Science for Materials. 6. 119-124 (1993)
-
[Publications] 畑中千秋: "プラズマ開始重合によるリパーゼの固定化とその活性評価" 化学工業論文集. 19. 533-536 (1993)
-
[Publications] 後藤宗治: "界面活性剤被覆リパーゼを用いたグリセリドのエステル合成反応" 化学工業論文集. 19. 1195-1198 (1993)
-
[Publications] 井手俊輔: "プラズマ開始重合法により合成したポリアクリル酸による希土類元素イオンの級、脱着" 石油学会誌. 36. 334-337 (1993)
-
[Publications] 井手俊輔: "合成ポリアクリルアミドによる希土類元素の吸、脱着" 分析化学. 42. 45-48 (1993)
-
[Publications] 幡手泰雄: "高分子ミクロスフェアの帯電特性に及ぼす表面形状の影響" 鹿児島大学工学部研究報告. 35. 39-45 (1993)
-
[Publications] 原口俊秀: "プラズマ処理による高分子微粒子表面の機能化" 北九州工業高等専門学校研究報告. 27. 65-70 (1994)
-
[Publications] 畑中千秋: "ポリイソプロピルアクリルアミドへのリパーゼの包括固定化" 北九州工業高等専門学校研究報告. 27. 71-76 (1994)
-
[Publications] 山田憲二: "プラズマグラフト重合法による中空糸膜表面への金属吸着性付与に関する研究" 北九州工業高等専門学校研究報告. 27. 77-82 (1994)
-
[Publications] 原口俊秀: "プラズマ処理による材料表面の機能化" 技術交流ハンドブック TOGETHER 新素材研究論文集. 3. 154-159 (1994)
-
[Publications] Kenji Yamada: "Plasma-Graft Polymerization of Grycidil Methacrylate onto a Surface of Poly(p-Phenyleneterephthalamide)Fiber" Reports on Progress in Polymer Physics in Japan. 37. 549-552 (1994)
-
[Publications] Chiaki Hatanaka: "Immobilization of Yeast Cell on the Surface of CEllulose Hollow Fiber(BMM)and Application to Bioreactor for Alcohol Production" Proceedings of Taipei-Kyushu Joint Symposium on Chemical Engineering & Symposium on Transport Phenomena and Applications. 5-8 (1994)
-
[Publications] Toshihide Haraguchi: "Functionalization of Microsphere Surface by Low Temperature Plasma" Proceedings of Taipei-Kyushu Joint Symposium on Chemical Engineering & Symposium on Transport Phenomena and Applications. 39-41 (1994)
-
[Publications] Kenji Yamada: "Surface Modification of Aramid Fiber by Plasma-Graft Polymerization" Proceedings of Taipei-Kyushu Joint Symposium on Chemical Engineering & Symposium on Transport Phenomena and Applications. 213-217 (1994)
-
[Publications] Masahiro Goto: "Separation of rare earth metals in a hollow-fiber membrane extractor modified by plasma-graft polymerization" Journal of Membrane Science. 96. 299-307 (1994)
-
[Publications] 原口俊秀: "プラズマエッチングとプラズマ重合の同時制御による金属-高分子組成傾斜膜の生成" 北九州工業高等専門学校研究報告. 28. 67-71 (1995)
-
[Publications] 山田憲二: "プラズマグラフト重合によるポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)繊維への反応性官能基の導入" 北九州工業高等専門学校研究報告. 28. 79-83 (1995)
-
[Publications] 原口俊秀: "高専用教材「新素材IV 複合材料編」" 文部省大学共同利用期間 放送教育開発センター, 92 (1993)