1994 Fiscal Year Annual Research Report
金属クロムの表面欠陥によるガラス的脆化と合金元素の添加による延性の改善
Project/Area Number |
05650671
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
森永 正彦 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (50126950)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 純教 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (10144213)
|
Keywords | クロム / 環境脆化 / 水素脆性 / 合金設計 |
Research Abstract |
金属クロムは、高温での耐酸化性およびクリープ強度において、現用の耐熱ニッケル合金よりも優れた特性を有している。しかしながら、常温での延性に乏しいことが問題であり、これが実用化への大きな妨げになっている。 本研究の目的は、クロムの脆化のメカニズムを明らかにするとともに、合金元素の添加による延性の改善を図ることにある。この目的に沿って研究を行い、次のような成果を得た。 1.金属クロム中の各種合金元素の効果を系統的に調べるために、3d、4d、5d遷移金属およびA1を添加して、3点曲げ試験を行った。その結果、バナジウム、マンガンの添加により、延性が改善することがわかった。特に、バナジウムを0.5原子パーセント添加したとき、延性の著しい改善が見られた。 2.上記のクロム合金においても、純クロム金属と同様に環境脆化を示した。すなわち、湿った大気中で、最も高い延性を示し、真空、酸素、窒素、水素雰囲気中では延性は低下した。金属クロムと同様、クロム合金においても、環境中に含まれている水分によって、高い延性を示すことが明らかになった。また、クロム合金でも水素脆性が起きることがわかった。 3.クロムの脆化を抑えるには試料表面状態(酸化皮膜等)の制御が必要であることがわかった。
|
-
[Publications] M.Morinaga,T.Nambu,J.Fukumori,M.Kato,T.Sakaki,Y.Matsumto,Y.Torisaka and M.Horihata: "Effect of Surface Imperfectionson the Ductility of Pure Chromium." J.Materials Science. in press.
-
[Publications] T.Nambu,J.Fukumori,M.Morinaga,Y.Matsumoto and T.Sakaki: "Environmental Effects on the Ductility of Pure Chromium." Scripta Metallurgica et Materialia. Vol.32 No.3. 407-410 (1995)
-
[Publications] 松本佳久、森永正彦、南部智憲、福森淳三、榊 孝: "高純度圧延クロムの延性-脆性遷移挙動に及ぼす環境効果" 鉄と鋼. (印刷中). (1995)
-
[Publications] 松本佳久、森永正彦、南部智憲: "高純度クロム圧延材の延性に及ぼす焼鈍効果" 大分工業専門学校研究報告. 31. 63-68 (1995)