1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05650682
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森井 賢二 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (10101198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 利之 大阪府立大学, 工学部, 助手 (20219372)
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Keywords | 誘電体薄膜 / 非晶質薄膜 / 比誘電率 / 誘電損失 / 誘電率の温度依存性 / 周波数依存性 / 誘電緩和 / SiTiO_3-BaTiO_3 |
Research Abstract |
誘電体薄膜は各種デバイスの基本構成材料として大きな期待を集めているが、薄膜誘電体ではバルク結晶性材料ほどの高い誘電特性を得ることは一般に困難である。本研究では、非晶質物質の持つ比較的自由度の高い構造に着目し、非晶質誘電体薄膜の誘電特性とその結晶学的局所構造との相関を検討することを目的としている。とくに今年度の課題は非晶質誘電体薄膜の作製条件の設定を行い、得られた薄膜の構造および誘電特性の概要を明らかにすることとした。主な結果は以下の通りである。 誘電体材料としては、常誘電体、強誘電体、緩和型強誘電体を予定しているが、本年度は、SrTiO_3,BaTiO_3を取り上げた。薄膜はこれらの圧粉体を中性化Arイオンビームによりスパッタすることにより作製した。なお、製膜装置の真空排気系をターボ分子ポンプ(本年度設備費により導入)により改善し、高真空(<2×10^<-7>Torr)でオイルフリーの環境を得た。 温室のガラス基板上に作製されたSrTio_3BaTi O_3薄膜(100-300nm)は、非晶質であることがX線回析および透過電顕観察により確認された。これら非晶質薄膜の結晶化温度は約850Kであったが、900K程度の温度での焼鈍(大気中)では結晶化しても粒径は100nm以下で粒成長は極めて遅いことが知られた。室温での比誘電率はいずれの非晶質薄膜においても50前後で、この値はSrTiO_3/BaTiO_3混合薄膜についても同様であった。非晶質薄膜の比誘電率は著しい温度および周波数依存性を示すことが明らかとなった。比誘電率は温度範囲600-700K、周波数範囲60-10000Hzで、50-400程度の大きな変化を示した。この挙動はデバイ型の緩和現象と推定され、その活性化エネルギーは約1eUと見積もられた。現在、動径分布関数の測定、高分解能透過電顕による非晶質薄膜の局所構造の評価とその誘電緩和との関係を検討中である。
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