1993 Fiscal Year Annual Research Report
金属系多層膜の熱酸化による酸化物磁性薄膜の作製とその物性に関する研究
Project/Area Number |
05650683
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
上村 税男 東海大学, 開発工学部, 教授 (10223504)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 義晴 東海大学, 工学部, 教授 (00056045)
千葉 雅史 東海大学, 開発工学部, 助手 (70236818)
勝井 明憲 東海大学, 開発工学部, 教授 (00246076)
|
Keywords | 金属多層膜 / Fe-Co合金膜 / 熱酸化 / Co-フェライト / 垂直磁化膜 |
Research Abstract |
予めFe/Co多層膜を作製し、同一チャンバ内で真空焼鈍して均一な合金膜としたものを基礎試料とし、その後、熱酸化することによってCo-フェライト薄膜の作製を試み、それら薄膜の微細構造や磁気特性を明らかにした。多層膜の作製は電子ビーム蒸着法を採用し、ガラス基板上にCo/Fe:50A/100Aを1周期として13周期の積層構成とした(真空度6×10^<-7>Torr)。続いて真空焼鈍(200℃-60分)を行い、膜全域においてCoとFeが1:2にほぼ均一に分散した合金膜を得た。次にこれら合金膜を磁場中(1kG)熱処理可能な反応炉に封入し、炉内の酸素圧は760Torr一定とし、加熱・酸化処理を行った。得られた酸化膜についてX線回折を行った結果、450℃で熱酸化処理した膜ではCo-フェライト(CoFe_2O_4)の他に、Fe_3O_4およびgamma-Fe_2O_3の回折線も観測された。それに対して、500℃以上での熱酸化処理膜は、ほぼCo-フェライト単相の薄膜が得られた。これらの膜は膜面に垂直に成長した酸化物粒子の緻密な集合組織を呈すること、また、個々の粒子は、内部が均一なCo-フェライトとなっているが、粒子の最表面(約20A)では不定比組成の酸化層(非磁性)を形成していることがわかった。作製した各薄膜での磁気特性測定の結果、熱酸化処理後では、Co-フェライトの生成とともに垂直磁気異方性が出現し、さらに熱処理時に外部磁場を印加した場合の酸化膜で垂直磁気異方性がより顕著に現れることがわかった。垂直磁化膜の成因としては、磁場中熱酸化処理による誘導磁気異方性効果や結晶粒の形状効果および粒子表面の非磁性酸化層の存在による粒子間磁気的相互作用の低減とが複雑に作用しあって起こるものと推論される。なお、500℃熱酸化処理膜でカー効果測定を行った結果、最大カー回転角-0.48deg(波長800nm)の高い値が得られ、光磁気記録材料として有望なことがわかった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 千葉雅史: "薄膜酸化法によるCo-フェライト薄膜の微視的構造と磁気特性" 東海大学紀要(開発工学部). 1巻. 173-182 (1991)
-
[Publications] 千葉雅史: "薄膜酸化法によるCo-フェライト磁性膜の微視的構造" 表面科学. 13巻. 52-57 (1992)
-
[Publications] 笠原英樹: "(Fe・Co)-Bi系薄膜の微細構造と磁気特性" 東海大学紀要(開発工学部). 3巻. 133-142 (1993)