1994 Fiscal Year Annual Research Report
光電子分光および光電気化学応答による不働態皮膜の多層構造解析
Project/Area Number |
05650709
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 慎司 大阪大学, 工学部, 助手 (70199371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 俊夫 大阪大学, 工学部, 教授 (90001205)
|
Keywords | ステンレス銅 / 半導体電極 / 光電気化学 / Fe-Cr合金 / 表面解析 / 不働態 / XPS / バンドギャップ |
Research Abstract |
ステンレス銅に代表される高耐食性合金の耐環境性は、不働態皮膜と呼ばれる表面に生成する数十原子層以下の極めて薄い皮膜によってもたらされる。本年度の研究では、この超薄膜の水溶液中でその場観察法としての、光電気化学応答装置を制作するとともに、X線光電子分光において、表面の粗度が深さ方向の分析精度に及ぼす影響を検討した。 光電気化学応答は不働態皮膜の半導体的性質を解析するもので、本年度は、純クロムの光電気化学応答を詳細に検討した。照射光のエネルギーに対する応答電流を分離・解析することにより、光電気化学応答を複数の相からの応答の重ね合わせとして評価する方法を開発した。これにより、クロムの不働態皮膜は3種類のバンド・ギャップを持つ多層構造となっていることを明らかにした。これらは、いずれも、P型半導体の性質を示し、およそ2.5,2.8,および3.5eVのバンドギャップをもち、それぞれCr(OH)_3,CrO・OHおよびCr_2O_3に相当すると推定した。さらに、この多層構造は、電気化学的条件ならびに時間の経過とともに変化していくことが分かった。 一方、XPSによる不働態皮膜の解析に際して、光電子の取りだし角を変化させることにより深さ方向の分布を定量的に解析できることを示したが、このとき表面の粗度により分析精度が大きく左右されるとが明らかとなり、この補正法について測定装置の幾何学的配置を考慮した方法について提案した。
|
-
[Publications] S.FUJIMOTO: "The Formation and Propertios of a Thick Passire Film on Fe-Cr Alloys with Square Ware Potential Pulse Polarisation" Joural of Materials Science Forum. (1995)
-
[Publications] R.C.Newman,S.Fujimoto,etc.: "Atomic‐Resolntion STM of Passive Films on Fe-Cr Alloys" Enropean Federation of Corrosion Publications. 12. 66-69 (1994)