1993 Fiscal Year Annual Research Report
二相ステンレス鋼溶接部の新水素形態別定量法の確立と水素割れ防止に関する研究
Project/Area Number |
05650710
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒田 敏雄 大阪大学, 溶接工学研究所, 助手 (00107096)
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Keywords | 二相ステンレス鋼 / 溶接部 / 水素形態別定量 / 溶接割れ / 水素拡散 / G-Bop試験 / Y-Groove試験 / フィッシュアイ |
Research Abstract |
二相ステンレス鋼溶接金属中の水素量の測定を行った。すなわち母材としてFerralium255,Alloy2205およびSUS329J1を用い、被覆アーク溶接棒としてFerralium259およびAlloy2209を用いた。 溶接金属はJIS規格およびAWS規格に従い作製し、直ちに石英管中に真空封入した。そして炉中で200℃から950℃の種々の温度で30分から2週間の種々の時間水素抽出を行い、既設の水素分析装置を用いて水素量を測定した。その結果、軟鋼や高張力鋼等フェライト鋼の場合は45℃で48時間で溶接金属中の水素がほぼ放出されるが二相ステンレス鋼溶接金属の場合は200℃で14日間、400℃で72時間と長時間抽出することにより溶接金属中の全水素量が測定されることが判明した。 溶接割れ試験としてY-Groove試験およびG-Bop試験を実施し、溶接割れと水素量の関係を求めた。水素量は溶接棒を300℃以下の種々の温度で乾燥処理することによって変化させた。その結果、Ferralium259溶接棒の場合、G-Bop試験では7ppm以上で水素割れが生じ、Alloy2209溶接棒の場合G-Bop試験およびY-Groove試験では34ppm以上で水素割れが生じることが判明し、二相ステンレス鋼溶接部における割れが生じない限界水素量が求められた。 これらの水素量はフェライト+オーステナイト相からの総水素量であり、そのためさらに個々のフェライト中およびオーステナイト中の水素量を水素拡散理論を基礎にした解析を購入したパーソナルコンピュータを用いて行っており、これにより各相中の水素量を明確に区別する新水素形態別定量法の確立が可能になった。
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