Research Abstract |
まず,電解液の物性値の測定法の標準化を行う前に,現在,我が国で行われている工業電解の操業条件を調べた。工業電解の代表的な例として,亜鉛の電解採取および銅の電解精製を取り上げ,我が国の非鉄金属製錬会社に電解液の組成を問い合わせたところ,亜鉛の電解採取液については,硫酸を約150g/L含有する酸性溶液であり,その他にマンガンイオンおよびにかわ等が含まれていることがわかった。一方,銅の電解精製液も同様に多量の硫酸を含む硫酸銅溶液で銅イオンのほかにニッケルイオンを含有する。ただ,各製錬所によって微妙にこれら電解液の組成にずれがあることもわかった。 次に,電解液の物性値として,電気伝導度,密度,粘度をとりあげ,これら物性値の測定法の標準化を行った。使用する機器としては,十分な精度を有し,且つ安価なものが望まれるので,これらの点を配慮して測定機器の選定を行った。その結果,電気伝導度の測定においては,通常市販されている白金黒電極を使用して2つの電極の間に交流信号を流して測定する伝導度計で十分精度よく測定が可能であることがわかった。また,密度については,浮力による比重計および比重瓶による測定法を検討したが,測定操作が極めて簡便な浮力による比重計で十分であると思われた。また,粘度の測定においては,オストワルト粘度計(キャノン-フェンスケ型)が最も精度よく,かつ誤差が少なく測定可能であった。 そこで,上記機器を用いて,合成した亜鉛電解採取浴および銅の電解精製浴の物性値を測定した。そのとき,電解液中の構成成分濃度を変化させ測定をおなった。現在のところ,得られた測定値を回帰分析し,従来得られている文献値との比較検討を行っている。
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