1994 Fiscal Year Annual Research Report
工業電解における電解液の物性と電気化学的特性に関する基礎的研究
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05650732
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福島 久哲 九州大学, 工学部, 教授 (50038113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 徹也 九州大学, 工学部, 助教授 (10136517)
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Keywords | 工業電解 / 亜鉛 / 銀 / 電気伝導度 / 密度 / 粘度 / エネルギー効率 / 生産性 |
Research Abstract |
本年度は主として,前年度において選定を行った機器を用いて種々の電解浴の物性値を測定した。まず,亜鉛電解浴に着目し実験を行った。浴の種類として,現在非鉄製錬各社で使用されている亜鉛電解採取浴,および鉄鋼会社で鋼板の表面処理法として用いられている亜鉛電気めっき浴を使用した。その結果,両者の物性値には大きな開きがみられたが,特に顕著なものは伝導度であった。また,密度,粘度に関しては亜鉛電解採取浴に比べ電気めっき浴の方が大きい値を示したが,これは電気めっき浴には硫酸ナトリウム等の塩が高濃度で加えられているためだと考えられる。以上の結果から,亜鉛の電解採取浴は亜鉛めっき浴に比べ浴抵抗による電圧降下を抑えたエネルギー効率重視型の浴組成になっていることがわかる。亜鉛めっき浴は,浴中の亜鉛イオンの濃度を大きくし,かつ強攪拌を行うことにより亜鉛析出の限界電流密度を増加させ,さらに高電流密度で電解を行い,特に高生産性を狙ったものになっている。ところで,合成した亜鉛電解採取浴の物性値を実際に非鉄製錬各社で使用されている現場の電解液の物性値と比較したところ,いずれの物性値にも相違がみられた。この原因としては,現場の電解液には亜鉛イオンの他に種々の金属イオンあるいは有機物が存在していることによるものと思われた。 次に,銀の電解精製浴(硝酸塩浴)および電気めっき浴(シアン化物浴)の物性値を比較した。その結果,銀電解精製浴の特徴としては亜鉛の場合ほど伝導度が高くなく,電槽電圧の観点からはさほど有利な組成とは言えないことがわかった。これは,銀自体が比較的高価な金属であることおよび電導度改善のために硝酸濃度を高くすると電析した銀の再溶解のおそれがあることによるためであると思われた。一方,銀の電気めっき浴は,シアン化物を採用することにより高過電圧を再現し,良好な電析物を得る浴設計となっている。
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