1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05650733
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森 信幸 九州大学, 工学部, 助手 (20108666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大城 桂作 九州大学, 工学部, 教授 (40038005)
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Keywords | YBCO / 超伝導酸化物 / 銀 / 接合 / 界面抵抗 / 界面反応 / 凝固 / 包晶 |
Research Abstract |
YBa_2Cu_3O_<7-x>仮焼粉及びこれに211相仮焼粉を混合した圧粉体を「融液+211相」の状態から一方向包晶凝固させ、211粒子が分散した緻密な123相柱状晶試料を作成した。この柱状晶組織のYBCO板上に粒状金属Ag或はAG_2O粉+YBCO混合粉をのせ、雰囲気炉内で銀の融点温度以上に保持して溶融接合した。Agの融点直上(1233K)の低温接合では、反応層は検出されなかったが界面抵抗率ρcは約10^<-8>〜10^<-9>Ω・m^2以上と大きい値であり、これは接合が不十分なためと考えられた。一方、高温で溶融接合したAg/YBCO接合体では、界面抵抗率ρcは上記と同程度の大きい値であったが、これはAgによる包晶温度低下により123相が211相と融液相(L)に分解して界面反応層が生じたためであった。そこでこの融点低下を逆用し、溶融接合後に包晶温度以下まで徐冷して反応層から123相を凝固回復させた接合体では、123相中に211相とAgが分散した組織となりその接触抵抗率ρcは約10^<-12>Ω・m^2に低下し改善された。また液相接合後1236Kで過冷凝固させても同様の結果が得られた。さらにYBCO/Ag複合体とAg或いはAg_2O+YBCO粉との接合体では、Agによる濡れ性向上と界面反応抑制効果によりρc値も低い傾向があるが、この場合も凝固回復処理によるρc向上効果が大きくρcは約10^<-12>Ω・m^2に低下した。一方、既に報告した固相接合法によるYBCO/Ag接合体でも873K,32MPa,3600s保持ではρcは約2×10^<-12>Ω・m^2が得られた。以上より、接合法のプロセス制御により複合体の安定条件とされる接触抵抗率<約10^<-12>Ω・m^2を満たすことが可能であるが、さらに、超伝導接合体としての特性改善には、接合試料に用いた柱状晶組織をもつYBCO基盤の組織制御法の確立が重要なため、一方向凝固法における123相柱状晶の成長機構に関する解析的研究を行った。123相の成長は界面前方融液中の拡散と211粒子の溶解による(211+L→S123)包晶反応により起こる。このとき、拡散や結晶成長の駆動力となる融液の全濃度差ΔC_Lは過冷度(ΔTpc)による項ΔCt(=ML・ΔTpc)と、211粒子の曲率半径rによる項ΔCrの和で与えられ、123相の凝固速度Rが次式で与えられた。R=(Ca/η)・[(ΔCt+ΔCrC)/{Tp/m_<L123>+Cf・(Tp/m_<L211>)}]^2、(Ca、Cfは定数、ηは融液の粘度、ΔCrcは界面でのΔCr、MLは液相線の勾配の関数)。この結果は実測のR-ΔTpc関係と良く一致した。次いでこの関係および等軸晶生成の過冷度と冷却速度の関係から123相の柱状晶-等軸晶遷移条件が導かれ、実験結果と良い一致を得た。さらに、急冷試料の融液中211粒子分布の実測結果をもとに211粒子の溶解・残留過程の解析を行い、123相中の残留211粒子分布を説明した。
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Research Products
(1 results)