1993 Fiscal Year Annual Research Report
急冷凝固高炭素鉄合金に生成する非平衡個溶体psi相の磁気特性
Project/Area Number |
05650734
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
恵良 秀則 九州工業大学, 工学部, 助教授 (00127987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 文隆 九州工業大学, 工学部, 助手 (10243982)
岸武 勝彦 九州工業大学, 工学部, 教授 (40029880)
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Keywords | 高炭素鉄合金 / 急冷凝固 / 非平衡個溶体 / psi相 / アモルファス / 規則構造 / 電気抵抗 |
Research Abstract |
種々の組成からなる高炭素鉄合金を単ロール法により急冷凝固してリボンを作製した(冷却速度:10^4K/s)。急冷リボンの組織はアモルファス相から種々の非平衡個溶体と広い範囲の相が得られた。この中で、Fe-3%C-10%Cr-10%Mo合金及びFe-3%C-10%Cr-3%Si合金でほぼ完全なpsi相を有するリボンが得られたが、比較材として前者の合金のC量を増加させ(4%C)、アモルファス相のみからなる合金も作製した。 示差熱分析の結果、psi相は200〜300℃の間で緩やかな発熱反応を示し、一部規則化が起こっていることが示唆された。さらに高温ではalpha鉄より格子定数がかなり大きいBCC構造の相がウィッドマンシュテッテン状に形成される。この段階の結晶相については、電気抵抗の温度依存性が通常の結晶相とあまり変わらないが、凝固まま及び200℃で熱処理したものでは電気抵抗の温度依存性が極めて小さく、アモルファス相に匹敵する。また、psi相は本来結晶質相でありながら、アモルファス相と同等の熱的安定性を示す。 psi相の合金を200℃で熱処理を行うと、電子線回折図形において(100)スポットが弱くなり、psi相は一部規則化する。規則化の状況を知るため、psi相に塑性変形を与えて超転移の導入を試みたが、超転移は導入されず、psi相がアモルファス相に変化することが、電子線回折図形と高分解能電子顕微鏡観察により明きらかになった。
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