1993 Fiscal Year Annual Research Report
拡大アーク法を用いたC_<60>合成プロセスの開発
Project/Area Number |
05650736
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
伊藤 公久 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (10159866)
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Keywords | フラーレン / C_<60> / C_<70> / アーク / プラズマ |
Research Abstract |
真空アーク反応容器を用いて、通常のアーク放電法による合成実験を様々な条件下において行った。常に良好なアークを得るために、電極送り装置を試作し、良い結果を得た。拡大アーク生成時の状況を考え、流入させるヘリウムガスの流量を、従来は0〜100ml/minであったものを、一桁以上高い条件、すなわち0〜5l/minの範囲において実験を行った。生成したC_<60>およびC_<70>を、紫外吸光分析によって定量し、収率を求めた。収率は、ヘリウム流量の増大に伴って増加したが、容器内圧の変化に対しては、100Torr付近で最大となった。アーク上方に設置した捕集器の温度分布を測定したところ、500〜600Kであった。フラーレン自体の収率は従来報告されているものと大差無かったが、従来C_<60>の10%以下とされているC_<70>の存在比が、本実験の場合20〜60%と、極めて高いレベルにあることが明らかとなった。これは、捕集器の温度と、アークから捕集器に到達するまでの炭素蒸気の熱履歴が影響を及ぼしているものと考えられ、フラーレン生成メカニズムに新たな情報を与えるものと考える。これらの実験結果を踏まえ、同軸ガス導入方式による拡大アーク発生用電極の製作を行い、常温における気密性を確認するに至った。一方、汎用熱流体解析プログラムを用いて、反応容器内の温度分布、ガス流れを解析した。その結果、捕集器の温度を精度良く予測できること、またアーク近傍のガスのフローパターンがガス流量の増大に伴って大きく変化していることが明らかとなった。同軸ガス導入の計算は、電極近傍の境界条件が複雑なこともあって、現在計算を続行中である。
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