1993 Fiscal Year Annual Research Report
分布定数系のオンライン・パラメータ同定法に関する研究
Project/Area Number |
05650738
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 繁 東北大学, 工学部, 教授 (00005456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 雅俊 東北大学, 工学部, 助手 (30230759)
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Keywords | プロセスシステム工学 / 分布定数系 / パラメータ同定 / 熱伝導プロセス / 乾燥プロセス |
Research Abstract |
(1)セラミックス焼成プロセスにおける熱物性のオンライン推定: 円柱状に圧縮成形したセラミックスを電器炉で焼成する過程における熱拡散係数の同定を試みた。始めに、同定アルゴリズムが効率良く機能するかを確認するため、実験炉による焼成過程のダイナミックスを再現するシミュレーターを構築して、シミュレーターからの計測値を基に熱拡散係数の同定を行なった。熱拡散係数は、温度の関数になるため、非線形最小自乗法による同定アルゴリズムから推定した。その結果、推定値は、レーザーフラッシュ法で計測した値に良好に一致しており、推定値を基に求められる温度分布は、実測値に一致することが確認できた。 (2)乾燥プロセスにおける材料内水分拡散係数のオンライン同定: 非親水性粒状粒子層の乾燥プロセスは、試料の水分拡散係数が含水率により大きく変化するため、非線形性の強いプロセスの一つである。本プロセスの水分拡散係数と含水率分布の同定を行なった。始めに、粒径0.2〜0.5mmのガラス、けい砂を充填したセルに熱風を当てて乾燥し、含水率と乾燥速度をオンラインで計測して水分拡散係数を求めた。つぎに、試料表面の含水率を赤外線水分計でオンライン計測し、そのデータと求められた拡散係数を用いて、材料内含水率分布の推定を試みた。推定アルゴリズムは、非線形モデルにKirchhoff変換という変数変換を施して疑似線形化し、オブザーバにより状態推定を行なうものである。推定の結果、推定値と実測値はほぼ一致しており、表面含水率の計測値のみでも、内部の含水率分布が比較的正確に推定できることが確認できた。 なお、以上の研究成果をまとめて、公表の準備をしている。
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