1994 Fiscal Year Annual Research Report
高伝導性タングステン窒化薄膜の合成とフラクタル解析
Project/Area Number |
05650761
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
尾見 信三 東京農工大学, 工学部, 教授 (70016393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 正敏 東京農工大学, 総合情報処理センダー, 助教授 (20111635)
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Keywords | タングステン窒化物 / 薄膜 / 表面解析 / 成膜パラメータ / フラクタル解析 |
Research Abstract |
平成5・6年度の研究実施計画に従い、低圧CVD法による、窒化タングステン薄膜の最適な合成条件を探索するとともに、生成機構を解明するために各成長パラメータが膜成長や膜質に及ぼす影響を検討した。さらにランダムな表面のフラクタル解析を進めている。 1.出発原料としてWCl_6を用いた窒化タングステンの合成反応で得られた薄膜は、いずれもβ-W_2N単一相であり、反応温度に伴い、成長速度,表面形状,結晶方位面が変化した。 2.WCl_6CVDの成膜速度に大きな影響を及ぼすパラメータはH_2とWCl_6の供給量であることが認められた。これらの反応次数はおよそ0.5であった。原料ガス中のH_2の添加はWCl_6から塩素原子を引き抜き、NH_3と容易に反応する活性な中間体形成を促進すると考えられるので、本研究では、H_2による低級塩化物中間体の形成反応が支配的であると推測される。 3.反応時間に伴う膜厚の依存性から、石英ガラス基板上では、その傾向が異なることが認められた。この結果から、石英ガラス露出表面上での成長速度は、ある程度成長し薄膜上の成長速度と比較しておよそ4倍高く、これが膜の表面状態に反映していると思われる。反応初期5分までに成膜した、基板近傍薄膜の断面形状と、その上に堆積した断面形状は明らかに異なり、反応機構は、反応初期とそれ以後では異なることが示唆された。 4.析出した膜のタングステンの化学結合状態は、金属タングステンと類似しており,W-N結合は明確な結合状態を持たない侵入型化合物の特徴を良く示している。 今後,表面形状および反応性のフラクタル解析を行うために、タングステン窒化物の表面形状と膜成長機構を実験的に検証する。
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[Publications] 永井正敏: "減圧CVD法による窒化タングステン薄膜の合成と成長挙動" 日本化学会誌. 1994. 907-912 (1994)
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[Publications] M.Nagai: "TPR and FTIR Study of Nitrided Molybdena-Alumina Catalyst" Bull.Soc.Chim.Delg. 104(発行予定). (1995)