1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05650770
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
豊倉 賢 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40063557)
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Keywords | 融液晶析 / 結晶純度 / 二次核発生 / 凝集付着 / ベンゼン-シクロヘキサン / p-キシレン-シクロヘキサン / 半回分晶析 / 母液包含 |
Research Abstract |
工業晶析プロセスでは、高純度物質を省エネルギー的に精製分離することが求められる。共晶系融液からの結晶化による分離においては、母液が結晶中あるいは結晶表面に含有され、純度の低下を起こす場合があり、発汗操作などにより純度の向上がなされる。本研究では、融液の晶析過程において装置内の核化・成長現象に着目し、これらの現象と結晶純度の関連を実験的に検討することにより、結晶化過程のおける母液の取り込み機構について新しい概念を提供し、高純度化のための最適操作を得ることを目的としている。ベンゼン-シクロヘキサン共晶系融液を対象とした研究では、半回分式撹拌型晶析装置を用いて、ベンゼンの核化、成長を行い、この過程における個数基準の粒径分布の推移、ならびに所定粒径幅の結晶純度を晶析操作時間毎に実測した。粒径分布の推移から、一次核が生成し、これらが合体しながら成長すること、成長の過程で二次核が周期的に生成することを再確認した。また付着母液をふき取った後の結晶純度と結晶粒径の関係を定量的に表すことにより、結晶の成長過程においては、1:微結晶の凝集により、母液を多く取り込む小粒径結晶の生成段階、2:微粒子が粗大結晶に配列し母液の包含量が少ない中粒径結晶の生成段階、3:二次核の付着により母液を結晶表面に取り込む大粒径結晶生成段階があることを明らかにした。また、バラキシレン-シクロヘキサン共晶系融液を対象とした回分晶析実験により、初期の一次核化現象が、合体成長過程における結晶純度の変化に影響を与えることを示すとともに、その不純物排除の機構を結晶の成長現象と対応させることによりモデル化した。以上の結果に基づいて、融液の晶析精製過程における不純物の取り込み、および排除の機構を装置内現象との関連で整理し、高純度化のための最適晶析操作法を提案した。
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[Publications] 豊倉 賢: "晶析法により析出したベンゼン結晶の純度に対する二次核発生の影響" 化学工学会第59年会要旨集. 245- (1994)
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[Publications] K.Toyokura,I.Hirasawa: "Crystallization Technology Handbook Chapter 7 Crystallization from the Melt" Marcel Dekker,Inc, 79 (1994)