1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05650796
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山根 恒夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (70026102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 俊策 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (80160167)
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Keywords | 高密度連続培養 / 生分解性プラスチックス / 高密度流加培養 / Alcaligenes latus / Paracoccus denitrificans / 遺伝子クローニング / スタートアップ |
Research Abstract |
生分解性プラスチックとして注目されている、微生物産生ポリ-3-ヒドロキシアルカノエート[P(3HA)]の最大の難点は生産コストが高すぎることである。この難点を克服する方策の1つとして、高密度連続培養の研究を開始し、いくつか有益なデータが得られつつある。本研究のねらいは、(1)P(3HA)類は菌体内に存在するので、生産性向上のためには菌体生成を主目的とした連続培養が回分培養や流加培養よりも有効であること、(2)連続培養による菌体内蓄積型物質の生産性は、生産性=(希釈率)×(菌体濃度)×(含量)で与えられるので、菌体濃度を高めればそれに比例して生産性は向上できること、の2点である。 以上のねらいの下に、本年度は以下の諸点を明らかにできた。 1.菌株の選定 多くの細菌がP(3HA)を菌体内に蓄積するが、大多数は増殖非連動型であり連続培養においては低希釈率でしかP(3HA)を蓄積しない。そこで、増殖連動的にP(3HA)を蓄積することが知られているAlcaligenes latusを中心にスクリーニングを行いA.latus DSM 1123を選定した。 2.培地組成の決定 高密度培養のためにはそれに見合うだけの培地成分濃度が必要であり、それを決める合理的方法は菌体の元素組成に基づく収支計算である。そこで、P(3HB)を45%含有する乾燥菌体の元素含量を分析し、菌の生育に必要な元素の比を求め、その値に基づいて培地組成を決定した。 3.高密度連続培養のスタートアップとしての高密度流加培養 上記2.で決定した培地組成を初発培地として回分培養を行うと蔗糖と硫酸アンモニウムについて高濃度阻害が見られたので、pHの調節に28%アンモニア水を用い、それと連動して蔗糖を供給する自動流加法を実施した。その結果、約12時間で菌体濃度82.1gDC/Lが得られ、その生産性は2.5gL^<-1>h^<-1>となり、これは世界最高の記録であった。現在、この方式でスタートアップを行い高密度連続培養を実施中である。
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