1993 Fiscal Year Annual Research Report
微生物を捕捉する高分子を活用した低濃度微生物計測法の開発
Project/Area Number |
05650799
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
川端 成彬 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (70025998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古吉 節夫 高知大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70199446)
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Keywords | ピリジニウム型高分子 / レーヨン不織布 / コーティング / 微生物濃度 / 微生物捕捉 / 微生物濃縮 / グラム染色 / 反射率 |
Research Abstract |
飲料水中に存在する低濃度微生物を計測することは,公衆衛生上の極めて重要な課題である.しかし通常用いられているコロニー法には検出限界があり,低濃度の場合には計測に先立って何らかの方法で試料検水を濃縮する必要がある.一般には大量の検水を遠心分離して濃縮する方法が用いられている.本研究では,微生物を捕捉する高分子を活用し,従来よりも簡便な濃縮方法を考察し,新しい低濃度微生物計測法の開発を試みた.即ち,微生物を捕捉する高分子を表面にコーティングした不織布をフィルターとして用い,大量の検水をこの不織布に通してその表面に懸濁している低濃度微生物を濃縮捕集し,捕集した微生物細胞を染色し,フィルターの反射率に基づいて元の検水中に存在する微生物濃度を補修計測する方法である.微生物を捕捉する高分子としてN-ベンジル-4-ビニルピリジニウムクロリドを用い,レーヨン不織布の表面に0.88g/m^2コーティングした.所定量のバクテリア懸濁液を通液し,不織布を取り出してグラム染色を行い,反射率(K/S値)を測定した.K/S値は通常染色濃度に比例することが知られている.バクテリアを含む検水を用いた場合の反射率と,検水を通液していない不織布を用いた対照実験の場合の反射率との差を求めたところ,検水中に含まれる微生物細胞の濃度と比例関係にあることが見いだされた.この微生物濃度と反射率との関係から求められる比例定数はバクテリアの種類により異なった.あらかじめ既知の濃度のバクテリア懸濁液を用いて検量線を作成しておけば,染色した不織布の反射率から検水中に含まれるバクテリアの濃度を算出するこことができる.バクテリアの濃度が低い場合には通液する検水の量を多くすることによって対処することができる.このようにして低濃度微生物を計測する新しい簡便な方法を開発することができた.
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Research Products
(1 results)