1993 Fiscal Year Annual Research Report
混合伝導性ジルコニアセラミックスの合成と電気化学的特性
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05650845
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
重松 利彦 甲南大学, 理学部, 教授 (80109058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 信也 甲南大学, 理学部, 講師 (10190381)
中西 典彦 甲南大学, 理学部, 教授 (80068064)
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Keywords | 正方晶ジルコニアセラミックス / 混合原子価状態 / 混合電気伝導性 |
Research Abstract |
本年度得られた成果は以下に述べる2点にまとめることができる。 1.セリア添加ジルコニアセラミックスの水素還元が、Ce(IV)イオンのCe(III)イオンへの還元により起こっていることを、X線光電子分光法を用いてあきらかとした。この還元に伴ないジルコニアセラミックス格子中に酸素空孔が導入された。また、還元温度が400℃〜800℃ではCeイオンは混合原子価状態を取り、900℃以上の還元でCeイオンは+3価となる事をみいだした。これらの水素還元された正方晶セリア添加ジルコニアセラミックスは熱的にも、機械的加工にも安定であり、単斜晶相への相変態は認められなくなった。 2.水素還元によってCeイオンが混合原子価状態を取るようになった試料の電気伝導度を直流二端子法で測定したところ、電気伝導法は未還元の試料の値に比して室温付近で2〜4桁増加しており、Ceイオンの平均原子価が〜+3.6価の時に電気伝導度が最高の値を示した。また、混合原子価状態の試料での電気伝導度の活性化エネルギーは未還元の試料での活性化エネルギーより低い値を示した。これらの結果は、正方晶セリア添加ジルコニアセラミックス中のCeイオンの還元に伴ない、酸素イオン伝導性に加えて電子伝導性が現われ混合伝導性を取るようになったこと、またこの系での電子伝導性がホッピング伝導であることを示唆している。
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Research Products
(1 results)