1993 Fiscal Year Annual Research Report
石炭液化油オイル分のMS-MS(質量スペクトル)分析による化学構造解析
Project/Area Number |
05650847
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横山 晋 北海道大学, 工学部, 助教授 (30001291)
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Keywords | 石炭 / 液化油 / GC-MS / GC-MS-MS / 化学構造 |
Research Abstract |
石炭を高圧水素化分解反応によって低分子化,液化させ,得られた生成オイルの構成成分の究明を目的としている。石炭液化油をアミンカラムHPLCによって,化合物クラスに分離し,この一環芳香族成分(Fr-M)についてGC-MS分析によって各化合物タイプ(Z数)に分類,同族体毎にZ数マスクロマトグラムとして整理した。高分解能キャピラリーカラムのGCであっても各化合物タイプ同族体は完全な分離が達成されていないために,スペクトルの重復が認められた。GC-MS分析法においてGCから分離,溶出する成分(特定のScan No.におけるGCピーク)が単一成分であるか,二成分以上の重複成分であるかを,分子イオンのMSスペクトル(低電圧イオン化法EI-MS法)によって判定した。単一成分については高電圧イオン化法MS分析からスペクトルが測定されたが、GCピークの重複成分についてはスペクトルの解析が難しい。この問題の解決にはGC-MS/MS法が極めて有力である。 GC-MS/MS分析法はGCカラムから溶出する成分が分子量の異なる二成分以上の重複成分である場合に,第一段MSで質量による再分離を行い,この親イオンの解裂イオン(娘イオン)を第三段MSで娘イオンスペクトルとして測定する。Fr-MのGC-MS/MS分析によってZ=-8(テトラリン,インダン類)の化合物タイプ同族体に属する分子量(M/z=132,146,160,174)について娘イオンスペクトルを測定した。この結果をGC-MS分析の結果と比較した。各分子量に対応するマスクロマトグラムのピークはGC-MSの結果とほぼ良い一致であり,異なる分子量を持った成分との重複はなくなり,単一成分に由来するMSスペクトルが得られた。 同じ化合物タイプ同族系列のZ数マスクロマトグラムについて,各ピーク成分のマススペクトルは石炭液化油成分の普遍化されたデータとして貴重である。
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