1993 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性ポリマー設計のための生分解性素子の高立体選択的合成と生分解の化学
Project/Area Number |
05650863
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松村 秀一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30051874)
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Keywords | 生分解性ポリマー設計 / 生分解性素子 / ビニルアルコールブロック / 高立体選択的合成 / 生分解機構 / 分解酵素 / ポリビニルアルコール / デヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
ポリビニルアルコール(PVA)系「生分解性素子」を設計するにあたり、高分子量PVAの生分解性の評価をPVA資化菌群を用い、^1H-NMR法により検討を行なった結果、PVA鎖のヒドロキシル基がイソタクト部分の方がヘテロタクトやシンジオタクト部分に比べてはるかにすみやかに生分解されていることが見い出された。また、アクリル酸塩などのビニル系カルボシラートとビニルアルコールとのコポリマーの生分解性評価の結果、ビニルアルコール連鎖数量体のところに生分解される最小鎖長の存在が推定された。そこで「生分解性素子」としてのビニルアルコール部分を、ヒドロキシル基がすべて同一方向を向いているイソタクトタイプのものを基準に2〜5量体のビニルアルコールブロックを化学合成し、生分解性の試験を行なった。自然界より集積培養法により得たPVA分解菌を用い、生物化学的酸素要求量(BOD)を測定することにより生分解性の評価を行なった結果、生分解性を示す最小の連鎖長はヒドロキシル基がすべて同一の方向にあるイソタクトタイプの3量体であることが見出だされた。一方、相当する2量体では全く生分解されないことが見いだされた。さらに、PVA資化菌よりPVA分解酵素としてPVA-デヒドロゲナーゼを単離し、酵素の基質特異性の点から、「生分解性素子」としての要件を明らかにし、先のイソタクトタイプのビニルアルコール3量体が基本構造となることを確認した。イソタクト成分の多いビニルアルコール連鎖を含むコポリマーの合成法の検討が易分解性ポリマーの設計に不可欠であり、今後の研究が必要であることを示した。
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Research Products
(1 results)