1994 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性ポリマー設計のための生分解性素子の高立体選択的合成と生分解の化学
| Project/Area Number |
05650863
|
|---|
| Research Institution | Keio University |
|---|
Principal Investigator |
松村 秀一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30051874)
|
|---|
| Keywords | 生分解性ポリマー設計 / 生分解性 / ビニルアルコールブロック / ポリビニルアルコール / 分解菌 / 酵素 / デヒドロゲナーゼ / 立体規則性 |
|---|
| Research Abstract |
「生分解性素子」の高立体選択的合成とポリマー分解酵素による評価から生分解性ポリマーの設計と生分解の化学の構築を目的として研究を行なった。
(1)各種の立体構造を有するビニルアルコール(VA)オリゴマー、2〜5量体を化学的手法により合成し、それらにポリビニルアルコール(PVA)分解菌、Alcaligenes faecalis KK314及びPseudomonas sp. 113P3、及びそれらから得たPVA分解酵素の一種であるPVA-デヒドロゲナーゼを作用させ、これら酵素の基質となり得る最小基本分子構造について検討を行った。その結果、いずれの菌体を用いた場合もVAのアイソタクチック構造の3〜5量体以上で優れた生分解性が見られた。また、PVA-デヒドロゲナーゼを用いた場合も同様な結果が得られ、これらが最小基本分子構造と考えられる。もちろん、これがPVA-デヒドロゲナーゼ本来の基質でないことは明らかであり、基質特異性の厳密さは若干あまいである。
(2)PVA-分解酵素の一種であるPVA-デヒドロゲナーゼをPVA-分解菌より単離、精製することにより得、評価に供した。Alcaligenes faecalis KK314より得たPVA-デヒドロゲナーゼは分子量63000と33000のふたつのサブユニットからなっていた。起源の異なる酵素による基質特異性の多様性はあまり見られなかった。
(3)ポリマー鎖中における「生分解性素子」としてのVA連鎖のPVA-分解酵素による反応性に対する両末端ポリマー鎖の効果についても検討を行い、ポリカルボン酸鎖中にVA-ブロックを組み込んだ場合VA-ブロックはその近傍の官能基やポリマー鎖全体により、立体的、静電的な影響を受けるために、先に明らかにしたVA-ブロック鎖長より若干長いブロック鎖長を必要とすることも明らかにした。
|
-
[Publications] S.Matsumura,T.Tanaka: "Novel Malonate Type Copolymers Containing Vinyl Alcohol Blocks as Biodegradable Segments and their Builder Performance in Detergent Formulations" J.Environ.Polym.Degrad.2. 89-97 (1994)
-
[Publications] S.Matsumura: "Design of biodegradable high molecular weight polycarboxylates directed towards detergent builders" Advanced Materials '93,V/A:Ecomaterials,Trans.Mat.Res.Jpn.,Elsevier. 18. 451-454 (1994)
