1993 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素の接触的取り込みを利用した精密合成法の開発
Project/Area Number |
05650874
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 勇 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80023266)
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Keywords | 一酸化炭素取り込み / ロジウム錯体 / シリルホルミル化 / 内部アセチレン / 位置制御 / シクロペンテノン |
Research Abstract |
本研究はガス状一酸化炭素の取り込みによる有用カルボニル化合物の選択的合成法の開発を目的として企画実施した。その目的達成のための根幹となる作業仮説を樹立するため、モデル反応として、報告者らの開発したアセチレン化合物のシリルホルミル化を詳細に検討し、そのscope and limitationと共に、触媒サイクル中でのRh錯体の挙動をも明らかにすることができた。即ち、Rh金属に対するトリオルガノシランの酸化的付加、Rh_-Si結合へのアセチレン誘導体の挿入によるビニル錯体生成、引き続くCOの挿入、アシル錯体の生成、還元脱離という一連の過程を経て、シリルホルミル化は完了する。Rh-Si結合へのアセチレン挿入はCO加圧下でのRh_4(CO)_<12>,Et_2MeSiH,およびフェニルアセチレンの逐次量論反応によって1,5_-ビス(ジエチルメチルシリル)_-2,4_-ジフェニルペンタ_-1,4_-ジエン_-3_-オンが高収率で得られたことからも支持される。従って、上記の触媒サイクルを考慮すると、内部アセチレンにおけるシリルホルミル化の位置制御のためには、分子内シリルホルミル化が極めて有効な方法となる。実際、ジメチル_-4_-ヘプチニルシランの分子内反応では2_-シラシクロペンチリデンプロパナールが得られるように、5員環、6員環形成を可能にするモデルにおいては意図通りの位置制御が達成できた。更に、Rh_-Si結合に対して2分子のアセチレン分子を連続的に挿入させた後、COの取り込みを実現させることにより、トリオルガノシラン、アセチレン、COからのシクロペンテノン骨格も組立てられる。また、1,6_-ジイン類からはビシクロオクテノン骨格が容易に組み立てられることも明らかとなり、今後一層の発展が期待できる。
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