1993 Fiscal Year Annual Research Report
シリルジエノールエーテル類のアルドール縮合型基転移重合における立体効果の研究
Project/Area Number |
05650896
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
平林 忠道 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (70024338)
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Keywords | 基転移重合 / シリルジエニルエーテル / アルドール縮合 / 幾何異性体 / 立体配置 / 立体配座 / 双環状多中心型遷移状態 / 分子量制御 |
Research Abstract |
1.3種のシリルジエニルエーテルモノマー、CH_2=CR-CH=CH-OSi(CH_3)_3[I:R=H,II:R=CH_3,III:R=C_6H_5]、の臭化亜鉛を触媒とするアルドール縮合型基転移重合について研究した。これら3位置換基とは無関係に、いずれもそれぞれの幾何異性体によって大きく重合性が異なり、E体は良く分子量制御されたポリマーを与えるのに対し、Z体は重合しないことが分かった。重合開始剤であるベンズアルデヒドとの1:1アルドール付加物の形成反応でもE体からは好収率で単離できたが、Z体は正常反応生成物を与えなかった。これらの差異は開始および成長過程での末端ホルミル基/モノマー/触媒間での双環状多中心型遷移状態の形成を前提に、E/Zモノマー骨格の立体配置による適合性の差異と考えれば説明できる。 2.上記3モノマーから得られるポリマーの付加様式を詳しく調べた。E体のみがポリマーに取り込まれる点では同じにも拘わらず、1,4-trans/1,4-cis付加選択比はI:100/0、II:69/31、III:17/83と異なり、1,2-付加はIにのみ約15%起こることが分かった。3位の置換基の種類によってジエン系ができるだけ長く共平面性を保持するために、基底状態での立体配座の分布は無置換のIはs-trans型が、フェニル置換のIIIではs-cis型が圧倒的に優勢である点を考慮すると、取り込まれたモノマーの立体配座が拘束されたままポリマーの立体配置が決まると見られ、ここでも上記1で提案した双環状多中心型遷移状態が最有力な説明となる。 以上1、2の内容は2編にまとめて投稿し現在審査中である。 3.遷移状態に関与する触媒の立体環境を変える試みも行った。一般式がC_2H_5AlCl(OR)で示される6種類のアルコキシド(例えばメントール誘導体)を合成したが、必要なルイス酸性度が不足して迅速開始にならず、基転移重合を特徴づける分子量制御は成り立たなかった。
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Research Products
(1 results)