1994 Fiscal Year Annual Research Report
置換アセチレンからの立体規則性リビングポリマーの合成と重合触媒の設計
Project/Area Number |
05650897
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
増田 俊夫 京都大学, 工学部, 教授 (60026276)
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Keywords | 置換アセチレン / 立体規則性ポリマー / リビングポリマー / 触媒設計 / (ロ-メチルフェニル)アセチレン / 立体特異性リビング重合 / モリブデン触媒 / 炭素13核磁気共鳴 |
Research Abstract |
高分子に優れた特性や機能を発現させるためには、分子量分布や立体構造を規制することが望ましいが、それらを同時に規制することは一般に困難である。本研究者らは置換アセチレンのリビング重合を達成したが、その立体特異性重合は困難であった。本研究では、置換アセチレンからの立体規則性リビングポリマーの合成の可能性について検討し、リビング重合するモノマーおよび立体規制に有効な重合触媒の開発を試みた。以下に研究成果の要旨を述べる。 1.リビング重合するモノマーの開発:オルト置換フェニルアセチレンのリビング重合性- フェニルアセチレン(PA)のオルト位に種々の置換基を導入し、MoOCl_4-n-Bu_4Sn-EtOH(1:1:1)触媒によるリビング重合に及ぼす影響を検討した。オルト置換基がないか小さい場合(例,PA,o-FPA,p-CH_3PA)リビング重合は起こらなかった。一方、かさ高いオルト置換基をもつもの(例,o-CF_3PA,o-Me_3SiPA)では理想的なリビング重合が進行した。このようにモリブデン触媒によるフェニルアセチレン類のリビング重合ではオルト置換基の立体効果が重要であり電子効果は影響しないことが明らかとなった。 2.置換アセチレンの、MoOCl_4に基づく新しいリビング重合触媒系の開発-以前に開発したMoOCl_4-n-Bu_4Sn-EtOH(1:1:1)以外の新しい触媒を開発するために、共触媒としてEt_3Alを用いてリビング重合の可能性を検討した。MoOCl_4-Et_3Al(1:1)触媒では分子量分布の広いポリマーしか生成しなかった。そこでさらに第三成分としてEtOHを添加した。EtOH濃度の効果について検討したところ、その濃度が高くなるに従い、生成ポリマーの分子量分布が狭くなった。結果として、主触媒であるMoOCl_4に対して4倍量のEtOHを添加すると、分子量分布の非常に狭い(Mw/Mn<1.05)リビングポリマーが得られることが分かった。
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Research Products
(1 results)