1993 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織性を有する側鎖型液晶高分子材料の合成とその配向に関する研究
Project/Area Number |
05650929
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
飯村 一賀 東京理科大学, 理学部・化学科, 教授 (20087349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
氏家 誠司 東京理科大学, 理学部・化学科, 助手 (40185004)
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Keywords | 側鎖型液晶高分子 / 自己組織性 / イオン性原子団 / 水素結合 / 液晶形成能 / 垂直配向構造 / 配向制御 |
Research Abstract |
本研究では,自発的に均一な配向構造を形成する側鎖型液晶高分子材料の開発を目的として,イオン性原子団を構成基として有する側鎖型液晶高分子およびモデル化合物を合成し,その液晶形成能および配向構造について検討した。以下に本研究で得られた研究成果を記述する。 【.encircled1.】液晶性カチオン基と非液晶性アニオン基より構成されるイオン性低分子液晶では,アニオン基の大きさが小さいハロゲンイオンの場合にはスメクティックA相を形成し,垂直配向構造を自発的に形成した。しかし,アニオン基の体 積が大きいスルホン酸イオンのときには液晶相を形成しなかった。 【.encircled2.】骨格主鎖にイオン性高分子鎖を有する側鎖型液晶高分子においては,【.encircled1.】のイオン性低分子液晶の場合と異なり,対アニオンがスルホン酸イオンでもスメクティック相を形成し,さらに硫酸イオンおよび硝酸イオンを対アニオンとする系でもスメクティック相を形成した。その液晶形成能は対アニオンの大きさが小さいハロゲンイオンの系で最も高く,自発的に均一な垂直配向構造も容易に形成された。この実験事実と【.encircled1.】の実験事実はカチオン基と対アニオン基の凝集状態が液晶形成能に大きく影響を与えることを明らかにしており,対アニオンの選定が液晶形成能の制御において重要であるといえる。 【.encircled3.】側鎖型液晶高分子における自発的な垂直配向構造の形成には,メソゲン側鎖基間の相互作用とクーロン力によるイオン基間の凝集のバランスが重 要であり,これらの相 乗的な作用とイオン基の基板表面への物理的吸着によってスメクティック層が積み重なった状態である垂直配向構造が自発的かつ容易に形成されると考えられる。 【.encircled4.】水酸基あるいはアミノ基などの水素結合性原子団を導入したイオン性側鎖型液晶高分子では,液晶形成能および均一な垂直配向構造の形成能が一層向上した。これは水素結合およびイオン相互作用の両方が配向制御に効果的に作用するためと考えられる。
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