1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05650955
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花崎 紘一 京都大学, 工学部, 助教授 (20026123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 和彦 京都大学, 工学部, 助手 (10179971)
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Keywords | 漏洩磁束探傷 / ワイヤロープ / 逆解析問題 / 磁気双極子 / 非破壊検査 |
Research Abstract |
長大橋や吊り屋根構造物に用いられている平行線ワイヤロープ(PWS)の劣化などを調べるための総合検査システムの開発に関する研究の一部として、漏洩磁束の計測による電磁探傷について検討した。ホール素子を用いた磁気センサーで漏洩磁束をスキャンして得られる観測データから、PWS内部に存在する欠陥の位置、数及び大きさなどを推定する方法の検討を行い、かなりの成果を挙げる事が出来た。すなわち、軸方向に磁気飽和させたPWSの内部に存在する欠陥は磁気双極子と見なす事が出来、漏洩磁束の観測データはそれらの磁気双極子が寄与する磁束密度の一次結合で表す事が出来る。従って、PWSを細かく要素分割してそれぞれを磁気双極子とみなせば、理論的には、その大きさを未知数とする連立一次方程式を解く事によって、欠陥の諸元を要素の大きさを基準とした単位で求める事が出来る。しかし現実的には、センサー位置の計測量や観測データに含まれる誤差の為に、連立一次方程式の解は正確でなく、欠陥の諸元を正確に同定する事が出来ない。これらの誤差を最少にするための磁気センサーの配置を決定する方法を見い出し、さらに、要素の大きさを基準とした単位より細かい諸元を求める方法として、非線形の最小値問題を解く事により実現できる方法を検討した。すなわち、前者については、磁気センサーの配置によって定まる連立一次方程式の係数マトリックスを、特異値分解して求められる「条件数」が最も小さくなるような磁気センサーの配置を採用すれば観測データに含まれる誤差の影響を極力避ける事ができる。後者については、PWSの要素分割により連立一次方程式の解として求めた欠陥の推定値を、自乗誤差の和を最小にする極値問題の初期値として与え、繰り返し計算により得た収束解を欠陥の諸元とするものであり、両者共に、電算機による数値シミュレーションによりその効果が確かめられた。
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