1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 雅志 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (40134043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西沢 武明 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教務職員 (60089802)
高橋 秀幸 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (70179513)
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Keywords | イネ / 冠根 / 根系 / 形態 / 屈性 / 遺伝 / 種内変異 |
Research Abstract |
昨年度の夏の低温により、雑種後代第2、3代を育成したが充分に採種できなかった。しかし、使用可能な交配組み合わせの材料で幼植物時期の冠根の伸長方向に関して遺伝解析を進めた。その結果、日本の水稲とインドネシア及びインドベンガル地方のイネ品種との交配後代F_2では、初めに伸長してくる冠根の伸長角度は日本の水稲の方に片寄った正規分布を示した。さらに、F_2の3、4番目に伸長してくる冠根の伸長角度はインドネシアのイネの分布域に片寄り広い変異を示した。これらの結果は、根の伸長角度を決定する遺伝要因が複雑であることを示している。しかし、F_2の種子根に関してT字型の硝子管により酸素屈性を調査したところ、酸素屈性に感受性の個体が優性で一遺伝子支配である有意性の高い結果を得ている。これらの結果は、組み合わせ個体数が限られた結果であるため、今後さらに調査する必要があるが、伸長角度を決定するいくつかの要因が競合していることを示唆するものとして、興味ある結果である。なお、今年度は雑種第三代の種子を採種することが出来た。 さらに水田土壌中の根茎形態をプラスチック製の笊を用いて根系の伸長角度を調査する方法で観察した、予備試験ではあるが伸長方向が特徴的な3品種について行い、根系形態を把握するために有用であることが分った。酸素屈性に関しては、用いるT字型ガラスを改良した結果、より再現性が高まった。しかし、ガラス管内の寒天に葉存酸素濃度の勾配が存在していることを証明する充分な方法が見つかっていない。今後、色素を用いて溶存酸素濃度を測定する方法を開発する必要がある。冠根の伸長方向の遺伝は単純な遺伝支配ではなく複雑であると判断される結果が出ている。従って、次年度はこれまで想定していた要因すなわち酸素屈性、重力屈性それぞれに関して解析を集中して進める必要がある。
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Research Products
(1 results)