1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660004
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
古田 喜彦 岐阜大学, 農学部, 教授 (20021719)
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Keywords | パンコムギ / オオムギ / 染色体 / 補償能力 / 同祖性 |
Research Abstract |
普通系パンコムギのChinese Springの第三同祖群ナリテトラソミック6系統とオオムギ染色体置換3系統の5形質,分けつ数,草丈,穂長,小穂数および稔性について調査し,欠失した染色体を過剰に存在するもしくは置換された同一同祖群染色体がどの程度表現型を補償するかを定量的(系統あたり約20個体)に分析した。ナリソミック3Aと3Bは相互によく似,平均値はいずれも正常系統の半分に低下し,六倍体といえども一対の染色体欠失の表現型への効果が大きいことが確認できた。なお,ナリソミック3Dは出現もしくは生存さえ許されない。一方,それらのナリソミック状態を補償するナリテトラソミックとオオムギ染色体置換系統の総合補償能力は正常系統の値を100とした時,3B(3A):80,3D(3A):89,3A(3B):79,3D(3B):83,3A(3D):79,3B(3D):83,3H(3A):87,3H(3B):89,3H(3D):79となり3A-3B間と3B-3D間は相互に似た補償を3Dは3Aをかなり補償するが,3Aは3Dをそれより10%低い補償であった。オオムギの3H染色体はパソコンムギの3A,3Bおよび3D染色体を89から79%補償し,なんとパンコムギと3A-3B-3D間と同じ補償程度であった。このことはコムギとオオムギの4ゲノムの第三染色体はほぼ同程度しか分化していないことを示している。従来,別作物として扱われ染色体的に比較のしようのなかったコムギとオオムギも両者間の生殖的隔離ほど染色体分化は大きくなく,他の同祖群染色体での同様の研究が期待される。コムギで育成したナリ-ダイテロテトラソミック2系統による染色体腕ごとの補償分析も有効であることが確認でき,現在残りの10系統とオオムギ染色体片腕置換系統6系統を育成している。
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