1993 Fiscal Year Annual Research Report
コムギ族外来遺伝子導入育種のためのRAP-DNA分子マーカーの開発
Project/Area Number |
05660005
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
富田 因則 鳥取大学, 農学部, 助手 (70207611)
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Keywords | ライムギ / PCR / RAPD / 散在型反復DNA配列 / tRNA / レトロポゾン / 10merプライマー / 座乗染色体 |
Research Abstract |
ライムギのRAPDマーカーを開発するため、1)レトロポゾンと考えられる散在型反復配列をPCRに用いて散在型反復配列に挟まれたランダムな領域のRAPDを検出する、2)ライムギゲノム中に規則的に存在すると考えられるEco O109Iサイト(Tomita et al.1993)を含む10merのプライマーをPCRに用いてRAPDを検出する、という2通りの戦略を立てた。 ライムギゲノムからコムギゲノムとの相同部分をサブトラクションする方法により、ライムギゲノムに特異的な散在型反復配列に由来する89bpのMbo Iフラグメントをクローニングした。このフラグメントにRNAPol IIIのプロモーター領域、アンチコドンおよびCCA末端を持つtRNA様構造を見いだした。そこで、TψCアームなどの保存領域をプライマーに用いてPCRを行い、増幅されたフラグメントをMbo Iフラグメントとハイブリダイゼーションさせると共に、回収してベクターpCR IIにライゲートして塩基配列を決定した。その結果、74bpのtRNA様領域を上流45bpおよび下流19bpの非tRNA領域が挟むコンセンサス配列が決定された。この散在型反復配列はtRNA起源のレトロポゾンである。下流19bpの非tRNA領域をPCRプライマーに用いると反復配列に挟まれたランダムな領域が増幅され、RAPDの検出に有効であった。 一方、Eco O109Iサイトからデザインした16種類の10merプライマーを用いてライムギおよびライムギ染色体添加コムギ系統の染色体DNAをテンプレートとするPCRを行い、10個のRAPDフラグメントの座乗染色体を決定した。さらに、これらのRAPDフラグメントを回収してPCR増幅産物とのサザンハイブリダイゼーションを行い、それぞれ染色体特異的なRAPDフラグメントであることを確認した。対照に用いたOPERONのランダムな10merプライマーでは20種類中1種類しかRAPDが検出されず、Eco O109IサイトのRAPDプライマーとしての有効性が明らかとなった。
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[Publications] Tomita,M.,N.Nakata & Y.Yasumuro: "Eco O109I repeated DNA families specific to the genome of rye,Secale cereale L." Pro.8th Internat.Wheat Genet.Symp.,Beijing. 8 (印刷中). (1993)
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[Publications] 富田因則・中田昇・安室喜正: "ライムギ特異的反復DNA配列のシーケンスおよび染色体位置" 育種学雑誌. 43(別2). 53 (1993)
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[Publications] 富田因則・中田昇・安室喜正: "ライムギゲノム特異的反復配列Eco O109Iファミリーのシーケンス" 日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集. 16. 249 (1993)
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[Publications] 富田因則・中田昇・安室喜正: "tRNA様構造を持つライムギゲノム特異的SINEファミリー" 育種学雑誌. 44(別1) (印刷中). (1994)