1993 Fiscal Year Annual Research Report
パンコムギにおける染色体欠失系統の作製と物理的遺伝子地図の構築
Project/Area Number |
05660008
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
遠藤 隆 奈良大学, 教養部, 教授 (60068830)
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Research Abstract |
パンコムギの第1〜4同祖群の12染色体においてこれまでに同定、単離された約220の欠失染色体について、それらを含む欠失系統の染色体構成をC-バンド分染法によって研究した。その結果、それまでに明らかになっていたものを含め、1A染色体で8、1B染色体で33、1D染色体で10、2A染色体で4、2B染色体で25、2D染色体で15、3A染色体で11、3B染色体で19、3D染色体で11、4A染色体で16、4B染色体で12、4D染色体で18の欠失染色体がホモ接合の状態になっていて、それらの欠失ホモ接合系統は自殖稔性があり、系統として育成できた。欠失部分の他の染色体への転座が疑われる系統は2、3系統のみであった。他の欠失染色体はまだヘテロ接合の状態であるが、2Aと4Bの短腕の欠失はホモ接合になるが、植物が不稔になるため、ヘテロ接合系統で維持されている。1Aの長腕の欠失と1Bの二次狭窄付近の欠失については、rDNAをプローブとしたin situ hybridizationを行い、1A短腕末端のシグナルからC-バンドマーカーのない1A染色体の欠失を確認し、また、1B染色体の仁形成体の有無を明らかにした。1B染色体の欠失系統を用いた物理的地図作製の研究は、Dr.Gi11との共同研究により、行われ、結果は発表されている。第2、3、4同祖群の欠失染色体を利用した物理的地図作製も、同じ共同研究で、現在進行中である。欠失染色体ヘテロ接合系統は、現在栽培中で、翌春に異数体との交配を予定している。PCR法によるRAPDを染色体マーカーとして遺伝子地図作製に利用する計画をしたが、各方面からの情報によると、まだPCRの結果が安定しておらず、染色体マーカーとしてはあまり期待が持てないようであったので、当面は、この計画を保留することにした。
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