1993 Fiscal Year Annual Research Report
シイタケ菌の農業形質に及ぼす細胞質遺伝因子の役割の究明
Project/Area Number |
05660010
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Research Institution | Japan Kinoko Research Center Foundation |
Principal Investigator |
福政 幸隆 財団法人日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究員 (00088840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 正樹 信州大学, 農学部, 助手 (40208963)
松本 晃幸 財団法人日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究員 (60132825)
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Keywords | 高等担子菌類 / 食用きのこ / シイタケ / 農業形質 / 細胞質因子 |
Research Abstract |
本年度は、シイタケ菌におけるミトコンドリアDNAの制限酵素切断型多形の調査をさらに進めるとともに、プロトプラスト培養による脱二核化処理と交配を組み合わせた手法が本菌の細胞質置換に有効であるか否かの確認ならびに子実体発生特性の異なる市販シイタケ品種2株の細胞質置換株の作成について重点的に検討した。 その結果、以下の成果を得ることができた。1.ミトコンドリアDNAの制限酵素切断型多形については、国の内外から収集した計51の野生株のミトコンドリアDNAをBamHIとEcoRIの2種類の制限酵素で切断後、アガロースゲル電気泳動で分析した。その結果、これらの菌株のミトコンドリアDNAは異なる28のタイプに分類することができ、しかもそれらのタイプの類似度は地理的起源を同じくする言い換えれば同じ国の野生株間では高く、異なる国の野生株間では著しく低いことが示された。2.次に、このようなミトコンドリアDNAの制限酵素切断型多形を細胞質型分析のための指標として用い、プロトプラスト培養による脱二核化処理と交配を組み合わせた手法による本菌の細胞質置換の可否を検討した。その結果、二核菌糸体の核構成を変えることなく、異細胞質を有した種々の細胞質置換株が本法によって容易に作成できることが判明した。3.そこで、上述の市販シイタケ品種F305とK170を供試して、それらの細胞質置換株の作成を実施したところ、前者については目的とする5種類の細胞質置換株を作成し終え、後者については作成実験を継続中である。なお、F305の細胞質置換株の生物的諸特性の分析を進めているが、菌糸生成度や菌糸形態には元株と比べて顕著な差異がないことが示された。
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