1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660015
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
稲永 忍 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (40124664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 幸裕 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (10243411)
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Keywords | 春コムギ / 深播耐性 / 種子重 / 出芽率 / 鞘葉長 / 幼芽抽出力 |
Research Abstract |
乾燥地では限られた降雨と激しい土面蒸散という気象条件のため、表層土の土壌水分が不足し植物の初期生育に大きな影響をおよぼす。そこで乾燥地では、乾燥し易い表層土を避け、比較的水分含量の高い作土層下部に播種し、安定した出芽および定着を図ろうとする深播栽培が行われる。本研究は、この深播栽培に適した品種(紅芒麦)を他の品種と比較することにより、深播耐性の特性について検討した。実験には、乾燥地で深播栽培に用いられている紅芒麦を含む、由来の異なる春コムギ7品種を用いた。本研究の主な結果は以下の通りである。 1.各品種内より選び出した3段階(大粒、中粒、小粒)の重さの異なる種子を、圃場に15cmの深さに播種し出芽率を比較した。大粒種子は、いずれの品種においても常に中粒および小粒種子よりも高い出芽率を示した。 2.同じ重さの種子を圃場に15cmの深さに播種した。品種間に有意な差が認められ、供試品種中紅芒麦が最も高い出芽率を示した。 3.水分を均一に調節したバーミキュライトの深さ25cmに播種し各品種の形態を比較した。出芽率の高かった品種(紅芒麦、ハルユタカ、ハルヒカリ)の最終鞘葉長は他の品種に比べ有意に大きかった。品種間の乾物生産効率に差は認められなかったが、種子養分消費速度および単位乾物重当たりの長さに有意な品種間差がみられ、この傾向は、低水分条件下においてより顕著であった。 4.紅芒麦の幼芽抽出力は他の品種よりの有意に大きかった。 以上の結果から深播耐性には種子重が大きいことに加え、品種固有の能力の差が深く関与していた。深播耐性品種は最終鞘葉長が大きく、それは種子養分消費速度と単位重当たりの長さに起因するものであることが明らかとなった。紅芒麦の幼芽抽出力が他の品種よりも有意に大きいことより、幼芽の抽出力もまた深播耐性に関与する一つの要因であると推察された。
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