1994 Fiscal Year Annual Research Report
レウココリネを中心とした新花芽の生育・開花習性に関する生態的研究
Project/Area Number |
05660028
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大川 清 静岡大学, 農学部, 教授 (60185204)
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Keywords | レウココリネ / 新花芽 / 開花調節 / 生育習性 / 休眠 / 低温処理 / チリ / 球根植物 |
Research Abstract |
1.休眠期間中の花芽の発達 定植適期にある球根では、球根の内部ですでに花芽の発達が進んでいるが、休眠期間中の花芽の発達については明らかになっていなかった。休眠開始から終了時まで花芽の発達を調査したところ、休眠に入った直後の花芽の文化段階はほとんどの個体で、生長点二分期、外花被形成期であった。そして、休眠期間中の9月までは花芽は発達せず、球根内でこれらの段階の花芽が枯死した形跡も見られなかった。この結果から、レウココリネは生育期間中に次の生育期に第1花茎として開花する花芽を生長点二分〜外花被形成ぐらいまで分化してから休眠に入り、休眠が破れる直前の10月まで発達を休止し、休眠中に枯死による花芽の更新もない。 2.球根重による性質の違い 出芽は球根が軽いものほど早い傾向があり、平均出芽日が最も早い0.2g区(11月14)か日ら最も遅い2.5g区(12月2日)まで約20日の差が生じた。このことから,小球根ほど早く休眠打破するという性質が明らかになった。切り花栽培のためには最低でも0.3g以上の球根が必要である。また、開花を早めたい場合は1.5g以下、切り花品質・木数を高めたい場合には1.5g以上というように栽培目的によって球根を使い分けるとより効果的であると考えられる。 3.休眠打破後の低温処理が花芽の発達におよぼす影響について 定植直前の2〜1週間、5〜10℃で低温処理すると、開花時期が早まるが、低温処理中に急速な花芽の発達が見られなかったため、定植後花芽のどのステージの発達が早まることで開花が早まるかは明らかでなかった。そこで、定植前に4週間に5℃で低温処理した球根と低温処理せずに植え付けた球根の花芽の発達状況を1週間ごと調査する実験を1993年の11月11日から行った。その結果、低温処理した球根では、定植したから第1花茎の花芽がやく・胚芽、花茎伸長形成に至るまでの期間が短縮されることが明らかになった。 4.抑制栽培について レウココリネの自然開花期は2月〜4月である。この開花時期を11月〜12月まで早めるため、1年以上(本実験では8月から翌年9月までの13カ月)貯蔵した球根を用いて抑制栽培を行った。その結果、8月上旬から13カ月間、低温(0〜15℃)と20℃を組み合わせて貯蔵することによって、11月中旬からの開花が可能となった。抑制栽培上最も良かった組み合わせは20℃の貯蔵限界が9カ月、低温(5℃)の貯蔵限界が4カ月であることから、20℃5〜9カ月+5℃2〜4カ月であることが明らかになった。
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