1994 Fiscal Year Annual Research Report
不良環境下における園芸作物の生育に及ぼす太陽光紫外線の質的および量的評価
Project/Area Number |
05660031
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
稲垣 昇 神戸大学, 農学部, 助教授 (30151575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金地 通生 神戸大学, 農学部, 助手 (90211854)
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Keywords | 紫外線 / UV-B / 光環境 / 光合成 / 環境ストレス / 園芸作物 |
Research Abstract |
前年に引き続き、園芸作物の生育に及ぼす紫外線の影響について、屋外および室内において検討した。 1.神戸大学農学部内の圃場において、カブ(Brassica campestris)を用いて、カブの生育に及ぼす紫外線除去の効果、および紫外線B(UV-B)補光の影響について調査した。 (1)400nm以下の紫外線を除去したフィルムを被覆した結果、対照区(紫外線透過フィルム被覆)と比較して葉柄の伸長による草丈の増加が認められた。特に紫外線量が豊富な春から夏の時期における紫外線除去の効果が認められ、秋から冬にかけた紫外線量が減少する季節では紫外線除去フィルム被覆の効果は低下した。 (2)(1)の処理区に、UV-Bを補光した処理区を設けた。その結果、UV-B補光は葉のブロンズ化、植物体の矮化をもたらし、強く生育を阻害した。B領域の紫外線の中でも、波長が短いほど阻害効果が強く、その影響は生育初期ほど強いことがうかがわれた。単位面積当たりの光合成速度に対しては対照区とほとんど変わらず、光合成機能の保護メカニズムが働いていることを示唆していた。 2.神戸大学農学部内の実験室で、トマト、キャベツを用いて、前年度のサラダ菜と同様の調査を行った。その結果、、両者ともUV-Bに対する感受性はサラダ菜より低かったが、葉の柔軟性の減少、ブロンズ化、縮葉、矮化などの現象が見られ、、UV-B量の増加と共に顕著であった。また、両者とも、暗期にUV-B処理した場合、特に生育低下が著しく、自然条件下では可視光によりUV-Bの阻害作用が抑制されることが示唆された。紫外線に対し植物はその受光面積をできるだけ減少させるため、葉が細く、立つようになるとともに、葉内のクロロフィルの分解を抑制するために厚くなりなどの生態的な適応を示していることが示唆された。
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