1994 Fiscal Year Annual Research Report
ハイドランジアにおける夏季の冷蔵による花芽分化温度域の拡大および休眠の回避
Project/Area Number |
05660032
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
稲葉 久仁雄 島根大学, 農学部, 教授 (30032585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細木 高志 島根大学, 農学部, 教授 (90101245)
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Keywords | ハイドランジア / 休眠 / 休眠回避 / 冷蔵 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ハイドランジアで、新しい手法による秋から初冬開花の作型を開発することである。平成5年度に、株が休眠しない春に花芽分化した芽では、花芽発達の停滞はみられず夏に開花することを確認した。また、同年度にその条件をシュミレートし秋の休眠を回避することを目的として夏に株を冷蔵し、秋に分化した花芽の冬季の開花が可能かどうかを検討したが、株の休眠は回避されず花芽の発達は停滞した。 平成6年度は、休眠化および休眠回避に関する実験を行った。夏を想定した8週間の高温管理の休眠におよぼす影響を検討したところ、ハイドランジアは高温下で生育してもしなくても低温(昼20℃・夜15℃)短日(12時間日長)によって休眠し、夏の高温下で生育することは直接休眠に結びつくものではないことがわかった。また、別に、平成5年度に続き再度夏季の冷蔵が休眠におよぼす影響を検討したところ、以下のように明らかな休眠化の抑制がみられた。‘ミセスクミコ'‘ブルーダイアモンド'の2品種を供試し、5月中旬に挿し木した株を7月下旬から9月中旬までの8週間2〜5℃で冷蔵したが、冷蔵をしない株では10月には生長がみられなくなり休眠化の傾向が明らかになったのに対し、冷蔵すれば11月下旬でも生長がみられ、休眠化は12月となった。 以上のように、本年度の実験では、ハイドランジアの秋の休眠化に夏の高温は直接結びつくものではないこと、しかし、夏に冷蔵することによって休眠化の抑制が可能なことが明らかとなった。このことはハイドランジアの秋の休眠を回避する方法を確立する上で重要な知見であるが、休眠化を抑制できても回避することは出来なかったことから、さらに、株の令など株の休眠化に関係する要因の解析をすすめ、休眠の回避方法を確立する必要がある。
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