1993 Fiscal Year Annual Research Report
カブリダニによるハダニ類の生物的防除法実用化に関する研究
Project/Area Number |
05660041
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 裕 北海道大学, 農学部, 助教授 (20142698)
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Keywords | チリカブリダニ / 生物的防除 / 施設園芸 / ナミハダニ / シミュレーション / システムズモデル |
Research Abstract |
チリカブリダニの実用可能な栽培環境を調査するために、本年度は北海道でキュウリ栽培ハウス2箇所、四国、九州でイチゴ栽培ハウス2箇所について詳細な栽培期間中の温度条件を調査した。調査は電子式温度記録装置によって半年以上にわたる栽培期間を通して行っているために、一部については未回収(測定継続中)であるが、既回収の北海道の2地点についての解析結果から、北海道の鷹栖町でのキュウリハウスでは特に6月中が高温となり、ややチリカブリダニの施用に問題があると考えられた。しかし、この温度上昇は施業上の手順変更で比較的容易に解決する問題であった。また、釧路町でのハウスでは栽培期間中に高温の問題がないことが判明した。なお、1993年は冷夏であったことから、1994年度も調査を継続する必要がある。 一方、温度条件の相違がチリカブリダニ施用にどのような影響があるのかをシミュレーションするために、齋藤ら(1986)のシステムズモデルの大幅な改良を行い、日平均気温、最高、最低温度および後2者の発生時間から状態を予測できるものとした。また、実用上さらに有効となるように、現在のハダニ発生数から放飼に必要なカブリダニ数を算出するためのサブモデルを組み込むことに成功した。これらの成果は、昨年10月に出版された「天敵農薬」という本にその一部を公開した。 前記2つの成果から、調査によって得られた実際の温度データを分析加工し、それをコンピュターファイル化すれば、それを基に防除効果を予測することが可能となった。今後は、さらに温度条件とチリカブリダニの増殖との関係を精査することで、予測精度の向上をはかる必要がある。
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Research Products
(1 results)