1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660042
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐野 輝男 弘前大学, 農学部, 助教授 (30142699)
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Keywords | カンキツエクソコーテイスウイロイド / ホップ矮化ウイロイド / キメラウイロイド / 病原性 / 構造ドメイン |
Research Abstract |
1、カンキツエクソコーテイスウイロイド(CEVd)とホップ矮化ウイロイド(HSVd)間キメラウイロイドの病原性について平成5年度にCEVdとHSVd間でそれぞれの右末端領域を交換した2種類のキメラウイロイドを作製した。CEVdにHSVdの右末端領域を導入したものをCE/HS-TR、逆にHSVdにCEVDの右末端を導入したものをHS/CE-TRと名付けた。それぞれをその親ウイロイドであるCEVdとHSVdと共に、トマトとキュウリに接種した結果、以下の略図のようになった。 以上の結果より、塩基配列の上で約50%とかなり低い相同性しか示さず、分類上も異なるウイロイドグループに分けられているHSVdとCEVd間で、右末端領域がその複製能を損なうことなくお互いに交換可能であることを明らかにすることができた。さらに、そのキメラウイロイドは、単に感染性を示しただけでなく、親ウイロイドに較べて宿主植物に対する特異性に変化が認められ、今まで機能不明であったウイロイドの右末端領域が宿主特異性に関与している可能性を示唆した。このように(1)異種ウイロイドグループ間で複製能を保ったまま構造ドメインを交換したこと及び(2)試験管内で組換により宿主特異性の異なるウイロイドを構築したことは本研究が世界初めてであり、今後ウイロイドの構造と機能の解明に関する研究に大きく貢献するものと考えられる。 2、カンキツエクソコーテイスウイロイド(CEVd)とトマトアピカルスタントウイロイド(TASVd)間キメラウイロイドの複製能について 平成5年度に構築したCEVdの右末端領域をTASVdの右末端領域で置換したキメラウイロイドCE/AS-TRを、その親ウイロイドであるCEVdと共にトマトとカンキツ実生に接種したがキメラウイロイドの複製は確認できなかった。構築したキメラウイロイドの全塩基配列とその構造を再検討したところ、組換領域にもう一塩基挿入してやることによりより安定な構造を取りうることが明らかになった。そこで、その1塩基を加えて再度キメラウイロイドの構築を行ない現在その感染性を検討している。
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Research Products
(2 results)