1994 Fiscal Year Annual Research Report
外来雑草の定着と防除に関する研究-特に資料畑雑草イチビについて-
Project/Area Number |
05660049
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沖 陽子 岡山大学, 農学部, 助教授 (30127550)
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Keywords | イチビ / 外来雑草 / 雑草害 / 防除 / 生理生態的特性 / 種子繁殖 |
Research Abstract |
近年、農耕地において外来雑草の侵入と増殖が問題になっている。その一例として、飼育作物としてトウモロコシを栽培している圃場でイチビ(Abutilon theoprasti Medicus)が大発生しており、その防除技術の確立が望まれている。そこで、本研究ではイチビの総合的防除体系を確立するための基礎知見を得ることを目的とし、平成5年度はイチビの雑草害の診断、イチビ(雑草型)の生理生態的特性及び種子の発芽特性について解明した。本年度は下記の項目について調査を試みた。 1.前年度生産子実数の差異及び耕起の有無が次年度の発生消長に及ぼす影響: 前年度にイチビが発生した場所で次年度の初期発生数を調査した結果、不耕起の方が耕起した場合より多かった。しかしながら、不耕起の場合、他の雑草種子や多年生雑草の地下茎が攪乱されずに土壌上層部に残存しており、イチビより優先種になりやすく、イチビの生育は著しく抑制された。一方耕起した場合は、耕起により休眠覚醒が促進され、また生育初期に優占種になりやすく多くの子実生産が得られた。さらに、前年度に生産されたイチビの子実数は次年度の埋土種子数と土壌上層部、下層部ともに有意に相関関係が認められた。 2.イチビの種内変異の解明: 雑草型イチビは開花前期間が短く、分枝性に富み、比較的小さい種子を多数生産する点で栽培型イチビと全く異なった特性を示した。現在、日本で問題となっている雑草型イチビはアメリカで問題となっている雑草型イチビと特性が酷似しており、栽培型に由来するものではなく侵入帰化したものと考えられる。
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