1994 Fiscal Year Annual Research Report
木材腐朽菌類、特にシイタケ菌と各種細菌類との相互作用
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05660059
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Research Institution | Japan Kinoko Research Center Foundation |
Principal Investigator |
常田 昭彦 , 財団法人・日本きのこセンター・菌蕈研究所・基礎研究部, 研究員 (30142087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 重幸 財団法人, 日本きのこセンター・菌蕈研究所・基礎研究部・, 研究員 (00072794)
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Keywords | 木材腐朽菌類 / 食用きのこ類 / シイタケ / 細菌病 / 溶菌性 |
Research Abstract |
昨年度の研究結果に基づき、シイタケ菌のPseudomonas属細菌に対する溶菌力を比較するとともに、その溶菌過程を電子顕微鏡を用いて詳細に検討した。その結果、供試した4菌株(TMI-563,655,31739,30829)の内、TMI-30829が最も強い溶菌性を示した。シイタケ菌糸の攻撃を受けると、細菌の細胞質がまず消失し、次に細胞壁も分解されて溶解した。この細胞壁溶解過程には微細形態的にみると、(1)細胞壁がまず微繊維(幅:約0.02μm)化し、これら微繊維がさらに切断されて粒状化するタイプと、(2)細胞壁が連続的により微細な粒子に切断されてゆくタイプの2種類が認められた。これらの結果は、木材組織内でシイタケ菌糸が細菌類を窒素源として利用しうることを示唆しているが、この点の証明は今後の課題である。以上の研究成果は論文にまとめ、Canadian Journal of Microbiology(40巻)誌上で発表するとともに、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学で開催された第4回国際菌学会のCongress symposiumにおいて口頭発表を行った。 本研究の期間中に、三重、岩手両県の原木栽培シイタケに原因不明の病害が発生したので、これを調査したところ、Psudomonas tolaasiiによる細菌病と判明した。本病原菌は、低温(5〜10度C)下においても感染性を持ち、ほだ木上で生育途上の子実体に感染すると、菌糸間隙で増殖し、シイタケ組織の褐変・溶解(lysis)を起因した。また、ほだ木の内樹皮および辺材外縁部の栄養菌糸に対しても感染力を持つので、本病害は栄養菌糸に沿って拡大しうることが明らかになった。シイタケ菌の細菌病抵抗性には菌株間差異があるが、この点に関する遺伝学的解明は今後の課題として残った。
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[Publications] TSUNEDA,A.: "Interactions between Lentinula edodes and pseudomonads." Canadian Journal of Microbiology. 40. 937-943 (1994)
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[Publications] TSUNEDA,A.: "Interactions of wood decay fungi with other microorganisms;with emphasis on the degradation of cell walls." Canadian Journal of Botany. 73(In Press.). (1995)