1993 Fiscal Year Annual Research Report
原形質膜の機能からみた植物のアルミニウム障害及び耐性機構に関する研究
Project/Area Number |
05660074
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 英明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80026418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 文一 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (90243500)
山本 洋子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)
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Keywords | 高等植物 / 酸性土壌 / アルミニウムストレス / 応答反応 / 耐性 / 障害 / 原形質膜 / イオン輸送 |
Research Abstract |
植物の酸性土壌における応答反応及び耐性機構を明らかにする目的で研究を行い、以下の成果を得た。Al耐性コムギ(Atlas)と感受性コムギ(Scout)を用い、in vivoでの低pHにおけるAlに対する応答反応を比較した。すなわち、あらかじめK^+を負荷した根を低pH条件下におくと、Scoutの方がAtlasに比べて、より大量のK^+を排出した。このK^+のエフラックスはAlによって抑制された。その抑制の程度はScoutの方がAtlasよりも大きかった。低pHによるK^+のエフラックスはCCCPで増加すること、さらに原形質膜のH^+ポンプの阻害剤であるバナジン酸でも増加することから、濃度勾配により細胞内に流入したH^+により脱分極が起こり、細胞内の電位を調整するためフラックスの大きいK^+を排出したと考えられた。 AlがK^+のエフラックスを、Scoutの方でより大きく阻害したことは、Scoutの方がAlによって細胞内電位の調整が、より大きく阻害されることを意味している。Ca^<2+>もK^+のエフラックスを抑制したが、この作用はCa^<2+>がH^+のインフラックスを抑制したか、あるいはH^+のエフラックスを促進したと考えられた。その効果はAtlasの方が大きかったので、次年度においては原形質膜ベシクルを用いて、^<45>Caの取り込み活性とAlによる阻害を、AtlasとScoutで比較する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松本英明: "アルミニウムを中心としたイオンストレスによる植物の障害と耐性機構に関する研究" 日本土壌肥料学雑誌. 64. 251-254 (1993)
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[Publications] Matsumoto,H: "Reconstitution of plasma membrane ATPase from mature cucumber roots." Soil Sci.Plant Nutr.39. 547-556 (1993)
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[Publications] Sasaki,M: "Involvement of plasma membrane potential in the tolerant mechanism of plant root to aluminum toxicity." Proc.Third Intl.Symp.“Plant-Soil Interactions at Low pH. (in press).
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[Publications] 松本英明: "低pH条件下における植物と土壌の相互作用" 日本土壌肥料学会、博友社(印刷中),