1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660078
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前島 正義 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (80181577)
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Keywords | プロトンポンプ / 液胞膜 / ピロホスファターゼ / 水分子チャンネル / ATPase |
Research Abstract |
植物細胞における液胞は、物質の貯蔵と隔離、細胞質イオン濃度の調節、生体高分子の分解、細胞空間充填などの機能をもつ。これらの機能の多くは液胞膜の選択的な物質輸送系に依存している。本研究は液胞膜物質輸送系に焦点を当て、それらの構造と生理的応答機構を分子レベルで理解することを目的としている。本年度は液胞膜のH^+-ATPase、H^+-輸送性ピロホスファターゼ(H^+-PPase)および水分子チャネルと考えられるタンパク質に焦点を当て個々の分子の解析をすすめ、生理的変動についても分析した。 (1)精製したH^+-PPase(73kD)をリポソームに再構成し、73kDタンパク質のみで無機ピロリン酸に依存したH^+輸送能を示すことが立証できた。このことは一次構造中に基質分解部位とH^+輸送に関与する部位が存在することからも支持される。PPaseは緑色植物共通の酵素であることも明らかにした。 (2)液胞膜ATPaseの触媒サブユニットのcDNAが得られ、推定される一次構造は他の植物、動物、微生物の対応するサブユニットと類似性が高いことが確認された。また、数種の植物から液胞膜ATPaseを精製し比較したところ、共通するサブユニットと、種特異的なものがあることが明らかになった。 (3)液胞膜に高疎水性のタンパク質(23kD,VM23)が存在することを見いだし、部分アミノ酸配列および抗体反応性から、VM23が水分子チャンネルとして知られるタンパク質と同種であることを明らかにした。さらにVM23は植物種により分子種が異なり、コケ、カランコエ、シャジクモなど一部の種はVM23を欠いてた。これらの発見は、VM23の生理機能の解明に手掛かりを与えるものと思われる。 (4)液胞型H^+-ATPaseとH^+-PPase、VM23は種子タンパク質顆粒の膜にも存在することを、酵素活性と免疫ブロット、免疫電子顕微鏡観察により明らかにした。これらのタンパク質は乾燥種子にはほとんど存在せず、発芽過程で誘導合成される。その一方でタンパク質顆粒膜固有のタンパク質は減少する。これらの新知見はタンパク質顆粒の液胞化、すなわち機能と形態の変換を分子レベルで示すものであり、発芽種子は液胞膜物質輸送系の誘導局在化機構、生理的応答の仕組を理解するモデル実験系であると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tanaka,Y.: "Molecular cloning of cDNA for vacuolar membrane proton-translacating inorganic pyrophosphatase in Hordeum vulgare." Biochemistry and Biophysics Research Communications. 190. 1110-1114 (1993)
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[Publications] Kasai,M.: "Effect of in vivo treatment with abscisicacid and/or cytokinin on activities of vacuolar H^+ pumps of tonoplast-enriched membrane vesicles prepared from barleyroots." Plant Cell Physiology. 34. 1107-1115 (1993)
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[Publications] Odaira,M.: "Characterization of proteins of nuclear envelopes from mung bean hypocotyls." Plant Cell Physiology. 35. 283-290 (1994)
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[Publications] Maeshima,M.: "Distribution of vacuolar H^+-pyrophosphatase and a membrane integral protein in a variety of green plants." Plant Cell Physiologoy. 35. 323-328 (1994)
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[Publications] 前島正義: "種子発芽期における細胞オルガネラの構築と変換" 植物細胞工学. 5. 158-164 (1993)
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[Publications] 前島正義: "植物液胞膜プロトンポンプの分子構造と細胞機能" 日本農芸化学会誌. 68. 7-14 (1994)