1993 Fiscal Year Annual Research Report
微生物起源ノイラミニダーゼの作用機構とシアロ糖鎖の酵素合成への応用
Project/Area Number |
05660091
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 國世 京都大学, 農学部, 助教授 (10223249)
|
Keywords | ノイラミニダーゼ / シアリダーゼ / シアロ糖鎖 / シアル酸 / ガングリオシド / 酵素合成 |
Research Abstract |
微生物起源のノイラミニダーゼを用いてシアロ糖鎖を合成することを最終の目的としして、各種のノイラミニダーゼの酵素化学的性質を検討した。また、予備的にシアリルラクトースの合成を試みた。 1.放線菌ミクロモノスポラ由来のノイラミニダーゼ(M酵素)の酵素化学的性質:コロミン酸を基質として本酵素反応により生成するシアル酸をチオバルビツール酸法により定量した。pH5,37℃において0.17μg/mlの酵素を用いて、ミカエリス定数Km,0.24mg/ml、最大速度Vmax,6.6μM/minと求められた。基質高濃度においてもミカエリス・メンテン式に従い、ストレプトコッカス・ノイラミニダーゼ(S酵素)で観測された基質阻害は見られなかった。また、M酵素はS酵素に比べて33倍も基質に対する結合が強いことが示された。両酵素活性に対するNaClの添加効果を調べた。両酵素ともNaCl濃度を0.5Mまで上昇させると、活性は15%に低下した。これ以上のNaCl濃度ではそれ以上の活性の変化は認められなかった。NaClはKm値の上昇を引き起こし、Vmaxには影響を与えなかった。すなわち、NaClは酵素と基質との相互作用を弱めることにより酵素活性を低下させることが示された。 2.S酵素を用いるシアリルラクトース(SL)合成:N-アセチルノイラミン酸0.53mM,ラクトース0.48mM,S酵素2.42mg/ml,37C,pH6.5にて3時間反応させたのち、タンパク質除去後、HPLCにてSLの定量を行った。HPLCにはTSKgel Amido-80カラムを使用し、示差屈折計RI-8020(本計画で購入)および紫外部吸光度により検出した。SLの合成が認められた。その収量は反応に供した基質の1-2%であり、今後、反応の平衡をSL合成側へずらせるための工夫が必要であると考えられる。
|
Research Products
(11 results)
-
[Publications] K.Masuda-Momma: "Interaction of subtilisin BPN^1 and recombirant streptomyces subtilisin inhibitors with substituted P1 site residues." Journal of Biochemistry. 114. 553-559 (1993)
-
[Publications] K.Masuda-Momma: "Identification of amino acid residues responsible for the changes of absorption and fluorescence spectra on the binding…" Journal of Biochemistry. 114. 906-911 (1993)
-
[Publications] N.Abe: "Purification of monoclonal antibodies with light-chain heterogeneity produced by mouse hybridomas…" Journal of Biochemical and Biophysical Methods. 27. 215-227 (1993)
-
[Publications] K.Inouye: "Single-step purification of F(ab')2μ fragments of mouse monoclonal antibodies (immunoglobulinsM)by…" Journal of Biochemical and Biophysical Methods. 26. 27-39 (1993)
-
[Publications] 井上國世: "ストレプトコッカス(K群)ノイラミニダーゼのコロミン酸およびシアリルラクトースに対する作用のちがい" 生化学. 65. 1234 (1993)
-
[Publications] 北岸恵子: "固体表面ゼータ電位の測定-バイオテクノロジーへの応用" BIO INDUSTRY. 11. 103-110 (1994)
-
[Publications] 近藤雅英: "新しい無タンパク質無ホルモン培地を用いたハイブリドーマの培養とモノクローナル抗体の生産" BIO INDUSTRY. 10. 214-220 (1993)
-
[Publications] 鎌田智: "臨床診断装置の最新動向-免疫測定法を中心に" BIO INDUSTRY. 10. 740-748 (1993)
-
[Publications] 近藤雅英: "疎水性相互作用HPLCによるモノクローナル抗体とF(ab')_2断片の精製" BIO INDUSTRY. 10. 685-691 (1993)
-
[Publications] 井上國世: "チトクロームP450研究の最前線" 化学と生物. 31. 587-591 (1993)
-
[Publications] K.Inouye: "Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects,Volume 5" Kluwer Academic Publishers,Dordorecht, 668 (1993)