1993 Fiscal Year Annual Research Report
耐塩性酵母における細胞膜ナトリウム輸送因子に関する研究
Project/Area Number |
05660099
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡部 保夫 愛媛大学, 農学部, 助手 (00159245)
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Keywords | 耐塩性酵母 / Zygosaccharomyces rouxii / ナトリウム / プロトンアンチポーター / ナトリウム-ATPase |
Research Abstract |
耐塩性酵母における細胞膜でのナトリウム制御に関する研究はナトリウム排出機構の解明に集中している。現在、申請者は二つの因子、ナトリウム/プロトンアンチポーターとナトリウムATPaseを想定している。前者では、耐塩性酵母Zygosaccharomyces rouxiiのアンチポーター遺伝子のクローニングを終了し、塩基配列の決定もほぼ終えている。これまで明らかにした構造から、報告された非耐塩性酵母の遺伝子と高い相同性を持つが、遺伝子の中にイントロンを含まないこと、タンパク質のカルボキシ末端領域が異なることを明らかにした。ノーザン分析では本遺伝子がZ.rouxiiで発現しており、その発現量が培地食塩濃度に依存することが分かった。このことはZ.rouxiiの塩耐性にとって本遺伝子が重要な機能を果たしていることを示唆している。さらに、染色体サザン分析から本遺伝子と相同性が非常に高い二番目の遺伝子の存在も示唆できた。後者の因子、ナトリウムATPaseについては、これまでこのタンパク質がZ.rouxiiに存在すること自体否定的であったが、本実験で、Z.rouxiiにナトリウムATPaseのものと推察される遺伝子の存在を明らかにした。現在、同遺伝子の一部(アミノ末端領域のみ)をコードしている遺伝子の断片をクローニングできた。これまで決定した塩基配列から、クローニングに利用した塩感受性(非耐塩性)酵母の遺伝子と高い相同性を持つことを明らかにした。現在、遺伝子の全長を含むDNAクローンが取得でき、構造決定を行なっている。上述したように、本遺伝子についてもノーザン分析を行なうことにより本遺伝子と耐塩性との関連を明らかに出来るものと考える。
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